交通事故
交通事故と保険会社職員
あなたは人身事故の被害者だとします。
保険会社の職員が金額提示をしてきます。
これは、裁判所で認められている相当な金額なのでしょうか。
交通事故の法律相談をすると、保険会社職員の示談案を持ってくる方がおられますが、裁判所で認められている相当な金額であったということは、極々まれです。
裁判になれば、大阪弁護士会交通事故委員会の「交通事故損害賠償算定のしおり」(表紙が緑なのでので、通称「緑の本」とよばれています)、財団法人日弁連交通事故センターの「交通事故損害額算定基準」(表紙が青いので、通称「青本」とよばれています)、あるいは、東京三弁護士会交通事故処理委員会の「損害損害額算定基準」(表紙が赤いので、通称「赤い本」とよばれています)のどれか、裁判官の判断により定められます。
この順番で、金額が低い方から高い方に並んでいます。
少なくとも大阪では「行け」(緑)、「行け」(青)、「止まれ」(赤)で、「注意」(黄色)がないのは少し残念ですが、名古屋弁護士会の基準本は黄色いそうです。
通常、大阪地方裁判所の判決となると、緑の本が基準ではないでしょうか。
保険会社職員の示談案は、裁判所で認められている金額より、かなり低いということがほとんどです。
こちらは素人、向こうはプロです。
最初から、示談ができれば、保険会社が「丸もうけ」という金額ということになります。
どこを低く見積もっているかについては、私が、統計をとったわけではありません。しかし、私の経験からすると、以下のとおりです。
治療費を低く見積もっている例はまれです。ただ、一部治療について、治療の必要性がないと抜いていることがあります。
過失相殺の割合を、被害者にとって、不利に提示している場合が往々にしてあります。
後遺障害慰謝料や逸失利益の金額も、まず、確実に不利になっています。
入通院慰謝料の金額などは、裁判所基準という示談案を見たことがありません。
ひどい職員になると、素人の被害者に対して、保険会社にとって有利な一般的ではない判例を示して「これと違うと主張するなら、違う判例を持ってきてほしい」という人もいるようです。
まず、保険会社職員の示談案は、裁判所において認められる金額より、かなり下回っているといえるでしょう。