不倫・男女関係のよくあるご質問
不倫・男女問題についてのFAQ
増えています。
理由は2つ考えられます。
1つ目は、不倫・不貞をした相手方に対し慰謝料請求ができるということが、テレビや週刊誌などで知れ渡ったことです。
2つ目は、不倫・不貞の証拠を確保しやすくなったためです。
裁判所に訴訟を提起するためには、不倫・不貞の証拠を確保することが必要です。
昔は、興信所に依頼して、浮気の現場の写真をとってもらうか、あるいは、配偶者の自白書か録音テープ(後で、ひっくり返される危険がありました)くらいしか客観的な資料がありませんでした。また、不倫・不貞の相手方の住所氏名を特定するのも簡単ではありませんでした。
今は、メールやLINEの内容で、不倫・不貞が簡単に証明できます。
ときどき、証拠となる写真がスマートフォンに残っていたりします。
また、不倫・不貞の相手方も、23条照会で、携帯電話の電話番号から特定できるようになりました(100%ではありません)。
理由は2つ考えられます。
1つ目は、不倫・不貞をした相手方に対し慰謝料請求ができるということが、テレビや週刊誌などで知れ渡ったことです。
2つ目は、不倫・不貞の証拠を確保しやすくなったためです。
裁判所に訴訟を提起するためには、不倫・不貞の証拠を確保することが必要です。
昔は、興信所に依頼して、浮気の現場の写真をとってもらうか、あるいは、配偶者の自白書か録音テープ(後で、ひっくり返される危険がありました)くらいしか客観的な資料がありませんでした。また、不倫・不貞の相手方の住所氏名を特定するのも簡単ではありませんでした。
今は、メールやLINEの内容で、不倫・不貞が簡単に証明できます。
ときどき、証拠となる写真がスマートフォンに残っていたりします。
また、不倫・不貞の相手方も、23条照会で、携帯電話の電話番号から特定できるようになりました(100%ではありません)。
その昔は、興信所の職員が追跡して、2人がラブホテルに入って出たところを写真に収める(時間差の場合は部屋の確認も必要です)、あるいは、配偶者が、不倫・不貞の相手方の家に入り、夜入って朝家を出る、あるいは、夜入って、電気が消えてからしばらくして、配偶者がでてくるというのが一般でした。
現在は、メールやLINEでわかることが多いです。
ご丁寧に写真が残っている場合があります。
そのものズバリという内容のものもあります。マスキング処理しないと、証拠として提出できないような写真もあります。
ラブホテルや相手の自宅に物を忘れたというのもあります。
待ち合わせ場所の確認をしていることもあります。次はどこのホテルに行くかという話をしていることもあります。
国内の温泉旅館やテーマパークでの宿泊もあります。これは、旅行会社の予約の履歴からわかることがあります。
配偶者(相談者・依頼者)に知られたかもしれないとか、配偶者が気づいているかどうかの内容の話をしていることもあります。
暗証番号と指紋認証があると思います。
指紋認証なら、配偶者が眠っているとき、スマートフォンに配偶者の指を触れさせればいいということです。簡単ですね。
なお、逆に、指紋認証であるから安心と思っていても、第三者はともかく、配偶者相手では何の役にも立ちませんから気をつけてください。
暗証番号は、4桁なら、まず銀行のキャッシュカードと同じです。実家の電話番号、車のナンバーということもあります。ただ、何回か誤操作すると、それ以上操作できなくなることもあります。
そうでないとすれば、配偶者がロック解除をするときの手の動きを見て覚えておきましょう。相手の警戒心が薄ければ、操作画面をのぞき見る機会は多いです。画面は見えなくても、指の動きから想像することも可能です。
同じ携帯キャリアのスマートフォンを利用している場合、機種によっては、電源を切ってからSIMカードを抜き、自分のSIMカードを入れて再起動して、自分のパスワードを入れればロックが外せることもあります。
配偶者から、ロックを解除して何かの操作をしてほしいと頼まれたときは、その暗証番号は必ずメモしておきましょう。なお、ロックをし忘れるというチャンスは結構あるはずです。
なお、逆の立場からすると、ロックが完全と思わないことですね。機械を専門業者のところに持って行けば、ロックは解除できます。逆に、そうでないと、安心してロックはかけられません。
1つには画面を写真でとるという方法があります。
スマートフォンや携帯の画面(長い場合はスクロールさせる。1枚目の最後の行と、2枚目の最初の行を同じにすれば、続いているということがわかります)を、スマートフォンかデジカメで撮影すればよいのです。
2つにはメールやトークを転送するという方法があります。
配偶者のスマートフォンや携帯を操作して、自分のパソコンやスマートフォンに転送するという方法です。
注意していただきたいのは、画面を写真でとる場合と異なり、転送したという証拠が配偶者のスマートフォンや携帯に残ってしまいます。転送したという履歴は消しましょう。また、転送した場合、本来あった受信発信日時などが消えて、転送した日時しか残らないということもあります。
通用します。ただ入手方法によっては、弁護士が受任してくれない場合もあります。
刑事訴訟法では、違法収集証拠(例えば拷問で得られた自白、捜査令状なしになされた捜索差押さえによって得られた証拠物など)は証拠能力がないとされていますが、民事訴訟法には規定はありません。
なお、暴力でスマートフォンを奪い取ったり、別居している家へ不法侵入してスマートフォンを盗み出したような場合に、証拠とならないかどうか、信用性があるかどうかというより、普通の弁護士が、そんな証拠を裁判所に提出できるわけがありませんから、弁護士に相談した段階で、他の証拠はないか、それしかなければ、受任できないと言われてしまうのが普通です。
弁護士に依頼すれば可能なことが多いです。
弁護士の調査方法としては「23条照会」があります。
番号がわかれば、NTTドコモ、au、ソフトバンクのうち、どことの契約かがわかります。NTTドコモ、auに23条照会をかければ、2週間から3週間で、携帯電話の番号の契約者・使用者の住所・氏名、あと、請求の送付先の回答が返ってきます。
携帯電話会社は、契約時に、運転免許証などにより本人確認をちゃんとしていますから、契約時の住所はわかりますし、住民票を移転していても、弁護士は、簡単に現住所を見つけられます。
通常、不倫メールは、個人の携帯電話を使用しています。
いずれ、弁護士に依頼して示談交渉や訴訟するわけですから、相手の携帯電話番号さえわかりさえすれば、23条照会、職務上の住民票、戸籍取得などが容易な弁護士に依頼すれば、相手方の本名、住民票上の住所がわかります。
親族の名義で契約していても、住民票で大抵わかります。
なお、弁護士は、示談交渉や訴訟のために調査するのであり、住所氏名だけ教えてくれるということはありません。
大阪弁護士会の会員に相談すれば、大阪弁護士協同組合の特約店である興信所を紹介してくれるのが普通です。もちろん、紹介料は必要ありませんし、バックマージンを取っている弁護士もいないかと思います。
興信所は、知らない客なら、値段をふっかけてくるところもあります。
しかし、大阪弁護士協同組合の特約店である興信所なら、おかしなことをすると、弁護士からの評判が悪くなりますから、おかしな仕事をしたり、料金をふっかけたりはしません。
なお、複数の特約店に、相見積もりをとる場合が普通です。
ただ、興信所は、びっくりするほど高いのが普通です。
ちなみに、大阪のことではありませんが、興信所と提携していて、興信所から、不倫・不貞の慰謝料請求の事件の紹介を継続的に受けている弁護士もいるようです。弁護士の経営も厳しくなったようです。
最高裁判所・平成8年6月26日判決は「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わない」と判示しています。
離婚を前提に別居している場合は、比較的、慰謝料請求を免れるというのは、かなり難しいです。つまり、別居後にはじめて配偶者が性交渉を持った場合には、慰謝料請求は難しいです。
ただ、別居後に性交渉をはじめてもったといいながら、調べていくと、何のことはない、同居して仲が良かったときからの不倫・不貞が続いていることも結構あります。
慰謝料の額には「相場」的なものがあります。ただ、交通事故の慰謝料額は、書籍にもなっていて、裁判官によるばらつきがなく、ほぼ「定額」ですが、不倫の慰謝料額について、裁判官による個人差がありますから、賠償金額についての予断は許しません。
なお、不倫・不貞の相手方に対する慰謝料についての判例をまとめた本も刊行されています。
しかし、一般の傾向はわかるものの、実際のところ、裁判官によりばらばらということが多いです。
金額を左右する一番の要因は、不倫・不貞をされた方が、どういう立場におかれたかです。
離婚ということになれば、慰謝料額ははね上がります。200万円程度からプラスマイナスします。なお、未成年の子がいるという場合は、さらにプラス要因になります。
次は、別居です。別居が一時的な別居か、最終的には離婚を見すえた別居かにもよります。
一番安いのが、いろいろあっても、元の鞘におさまるというもので、100万円程度からプラスマイナスします。また、従前の夫婦仲がどうだったのかも一要素です。
次に、不貞・不倫の態様です。
2回、3回にすぎないのか、何年も続いているのかでは大きく違います。また、本当に浮気なのか、家を飛び出して愛人宅に同居するほどで家庭崩壊をまねいているのか、隠れて不倫関係を続けているのか隠れて不倫関係を続けているなら、その期間が長いか短いかなどにより左右されます。
金額を左右するもう一つの要素は、不倫の相手方の資力です。
何の財産もない人に対して訴訟しても、「低額の和解でも、分割払いの和解でも、和解すれば支払ってくれる可能性は高いでしょうが、判決をとっても強制執行は無理」との裁判官の勧告により、低額の慰謝料しかとれないことがありますし、逆に、財産のある人、少なくとも、正社員として勤務している人に対してなら、給与の差押が可能ですから、強気の交渉や訴訟が可能です。逆にないものはないとして、安い金額で妥協しなければならない場合もあります。
なお、配偶者の方から積極的に不貞・不倫もちかけたのか、むしろ不倫・不貞の相手方が積極的だったのかについては、建前は関係ないということになっていますが、実際は、多少影響はされます。
私が扱った事件では、慰謝料額が、最高が500万円で、最低が50万円です。どちらも受領した金額です。
確かに、そういう考え方の裁判官もいます。
どういう事例かというと、元の鞘におさまる事例なのですが、不倫・不貞による別居や離婚の話が全くでない場合があります。
そういうときに、一方配偶者からの不倫・不貞の相手方に対する慰謝料のみを認めた場合、不倫・不貞の相手方に対する慰謝料は、夫婦共通の財布に入り、不倫・不貞をした配偶者の丸儲けになり、どう考えてもおかしいという理屈です。
ただ、不倫・不貞の相手方から、求償権の履行をすれば良いのですが、例えば、認容額100万円、責任割合が半々だとすると、話し合いがつかない場合、50万円の求償権請求の訴訟を提起できるのかという問題があります。
なお、現実には、高等裁判所まで争えば、0円(請求棄却)の判決ではなく、金額はともかく、認容されるということが多いです。
まず電話はするでしょう。電話を邪険に切られたときが問題です。
交渉の手段として、電話で、ちゃんと話し合いに来なければ「勤務先に行く」「自宅に行く」と言うことは自由です。
ただ、実際、勤務先に行ったり、自宅に行ったりすることはやめておかれた方がいいと思います。
慰謝料請求で、微妙に減額されたりするものです。
「悲劇のヒロイン」を演じる方が、慰謝料額の増額が期待できます。
裁判官も人間であること、自分が裁判官なら、どちらのほうが、多く慰謝料請求をみとめてやろうという気持ちになるかお考えください。
なお、態様などによっては、恐喝罪に該当する場合があります。
不倫・不貞をした配偶者をした相手方にも、配偶者がいる場合のことを言います。つまり、例えば、妻が夫の不倫相手の女性に対し、不倫・不貞による慰謝料請求したところ、不倫相手の女性には夫がいるということです。
この場合、妻は不倫・不貞相手の女性に対し慰謝料請求できますが、不倫相手の夫から、妻の夫に対して慰謝料請求できるということになります。
双方の夫婦のいずれかが、離婚あるいは別居して財布を分ける場合には問題になりませんが、双方の夫婦が、同居して従前のように財布が1つであるという場合に、妻から不倫の相手方に損害賠償請求ができるのですが、逆に、不倫相手の女性の夫から、自分の夫が損害賠償請求をされてしまうということです。
もちろん、浮気が発覚し、双方が十分に反省し、自分の配偶者にも相手方にも謝罪し、元の鞘に収まったのであれば、双方慰謝料を請求しあっても、そんなに裁判所の認容額が異なるわけではありませんから、弁護士に着手金と報酬を支払うだけ損ですね。弁護士としても、着手金はもらっても、相殺するという内容の和解の場合、成功報酬はとりにくいのが実情です。なお、弁護士は、浮気された妻と、損害賠償請求された夫とは、利害相反の可能性がありますから、別々の弁護士となりますから、事実上の相殺、つまり、双方訴訟の取下げです。
なお、浮気が発覚しても、不倫・不貞の相手方が、全く反省せず、謝罪しないばかりか、自分の夫をたきつけて損害賠償請求をさせ、自分に対する損害賠償を防ごうとする女傑がいます。なお、男性は、そこまで残酷にはなれないのが一般です。
その場合は、双方損害賠償請求することを覚悟に、訴訟をすることがあります。和解など妥協の余地は全くなし、ともかく、相手を法廷に引っ張り出すことが目的となります。その場合、和解などは考えられず、判決までいくのが普通ですし、地方裁判所のみならず、高等裁判所で控訴して争われることがよくあります。
最高裁判所・最判平成6年11月24日判決によれば「不真正連帯債務」とされています。
難しい用語ですが、被害者が、全額賠償を受けられればそれでよく、被害者も、2重の請求ができず、あとは、不真正連帯債務を負担する側で、負担分に応じて清算されれば紛争は解決すると考えていただいて結構です。
例えば、共同不法行為になりますが、タクシーに乗っている乗客が、信号のない交差点でタクシーと別の車と衝突して、むち打ち症の傷害を受けたとします。タクシーの乗客は、タクシー会社にも、衝突した別の車の運転手にも、タクシーの運転手と別の車の運転手の過失割合にかかわらず、自分が受けた損害賠償の全額を請求できます。
もちろん、2倍の請求ができるわけではなく、自分の受けた損害の限度で賠償を受けられるに過ぎません。
乗客の損害賠償は、タクシー会社と別の車のドライバーが、それぞれの過失割合を考慮し、別途交渉して清算するということです。
不真正連帯債務とは、上記の例の共同不法行為と、厳密にいえば、わずかの点を除いて同一で、基本的には、不倫・不貞をした配偶者に対する慰謝料請求と、不倫・不貞をした相手方に対する慰謝料請求との関係と同じです。
理屈の上では、不倫・不貞をした配偶者に対する慰謝料請求と、不倫・不貞をした相手方に対する慰謝料請求の合計額が決まっていて、加害者どちらからでも損害賠償はとれる、片方からとってもいいし、両方からとってもいい、どちらかからとった分は、慰謝料請求の合計額から差引くことができるということです。
もちろん、通常の不真性連帯債務の場合は、債権者である原告は、債務者である被告2人を同時に訴訟提起しますから問題はありません。
不倫・不貞をした配偶者に対する慰謝料請求は家庭裁判所(まず、調停からスタートします)、不倫・不貞をした相手方に対する慰謝料請求は地方裁判所(調停手続きをしても無駄ですから、最初から訴訟になります)ですから、裁判官も手続きもバラバラになります。
ですから、家庭裁判所の判決と、地方裁判所の判決が矛盾することもあり得ます。別々の裁判官が審理していますから。
なお、最近のケースでは、地方裁判所の訴訟を、家庭裁判所に移送して、一元的に解決するという方法もとられているようです。
不倫・不貞の慰謝料について、不倫・不貞をした配偶者に対する慰謝料と、不倫・不貞をした相手方に対する慰謝料は、タクシーに乗っている乗客が、タクシー会社にも、衝突した別の車の運転手にも満額の請求ができるのと同様ですか |
理屈上は、そのとおりです。
まず、妻が、不倫・不貞をした相手方女性に対し、損害賠償請求訴訟を提起するとします。
たいてい、不倫・不貞をした相手方女性は、男の方から誘ってきた、男が家庭内別居だと言っていた、だから慰謝料は安くなるはずだと主張することになります。
ただ、法律的に言えば、あまり意味はありません。
妻はタクシーの乗客、夫はタクシー運転手、不倫・不貞をした相手方女性は、相手方自動車の運転手というたとえの通りですと、夫の方の責任が重いか、不倫・不貞をした相手方女性の責任が重いかは、あとで勝手に清算してもらうべきもので、慰謝料の額には影響しないというのが理論的帰結です。
もっとも、請求する側の弁護士は、不倫・不貞をした相手方の責任が重いと主張しますし、請求される側の弁護士も、配偶者の方の責任が重いと主張します。
そして、法律的には十分わかっている裁判官も、表面上は、不倫・不貞をした配偶者に対する慰謝料と不倫・不貞をした相手方のどちらの責任が重いかは慰謝料額に影響しないと判決で書くのですが、主文の慰謝料額は、どちらの責任が重いかにより慰謝料額を変えているというのが実情です。
妻がいることを知っていて情交関係を持った女性から男性への慰謝料は「貞操侵害」による慰謝料となります。その昔は、一律「請求棄却」でした。
それを変更したのが、昭和44年9月26日の最高裁判所判決です。
「 女性が、男性に妻のあることを知りながら情交関係を結んだとしても、情交の動機が主として男性の詐言を信じたことに原因している場合で、男性側の情交関係を結んだ動機、詐言の内容程度およびその内容についての女性の認識等諸般の事情を斟酌し、女性側における動機に内在する不法の程度に比し、男性側における違法性が著しく大きいものと評価できるときには、貞操等の侵害を理由とする女性の男性に対する慰謝料請求は許される」との判示です。
事案は「妻のあるアメリカ人男性が日本人女性と婚姻の意思がないのに欺罔し、日本において情交関係を結び、子の妊娠を知って交際を絶った」「日本人女性が19歳の処女であった」というものです。
今と貨幣価値は異なりますが、慰謝料額は60万円でした。消費者物価指数で補正すると約160万円、案外安いでしょう。
配偶者や不倫・不貞の相手方に対しても、損害賠償請求ができます。
ただし、時効は3年です。時効の起算点ですが、配偶者に対しては、離婚したときから3年、あるいは、相手方には、不倫・不貞を知ったときから3年という考えがあります。
ただ、あまり弁護士に依頼する例は多くなさそうです。
配偶者の不貞・不倫に気づかなかったくらいですから、離婚してから後に気づくことは珍しいでしょう。離婚してしまうと、不貞・不倫の証拠が集めにくくなります。
元の配偶者が再婚し、再婚相手が、元の配偶者の同僚であったり、上司であったりする場合に気づくことが多いのですが、いかんせん、確固たる証拠がなく訴訟を断念することが多いのです。
いずれにせよ、男女間の恋愛は自由、破局に至ったからといって、原告として、損害賠償できるものではありません。
東京高等裁判所・平成21年10月15日判決があります。控訴人を男性、被控訴人を女性と読みかえてください。
「 控訴人と被控訴人が行った性行為は、生殖行為にほかならないのであって、それによって芽生えた生命を育んで新たな生命の誕生を迎えることができるのであれば慶ばしいことではあるが、そうではなく、胎児が母体外において生命を保持することができない時期に、人工的に胎児等を母体外に排出する道を選択せざるを得ない場合においては、母体は、選択決定をしなければならない事態に立ち至った時点から、直接的に身体的及び精神的苦痛にさらされるとともに、その結果から生ずる経済的負担をせざるを得ないのであるが、それらの苦痛や負担は、控訴人と被控訴人が共同で行った性行為に由来するものであって、その行為に源を発しその結果として生ずるものであるから、控訴人と被控訴人とが等しくそれらによる不利益を分担すべき筋合いのものである。しかして、直接的に身体的及び精神的苦痛を受け、経済的負担を負う被控訴人としては、性行為という共同行為の結果として、母体外に排出させられる胎児の父となった控訴人から、それらの不利益を軽減し、解消するための行為の提供を受け、あるいは、被控訴人と等しく不利益を分担する行為の提供を受ける法的利益を有し、この利益は生殖の場において母性たる被控訴人の父性たる控訴人に対して有する法律上保護される利益といって妨げなく、控訴人は母性に対して上記の行為を行う父性としての義務を負うものというべきであり、それらの不利益を軽減し、解消するための行為をせず、あるいは、被控訴人と等しく不利益を分担することをしないという行為は、上記法律上保護される利益を違法に害するものとして、被控訴人に対する不法行為としての評価を受けるものというべきであり、これによる損害賠償責任を免れないものと解するのが相当である」
認容額は114万円強です。
ただ、一般的かどうかはわかりません。あまり、訴訟にはなりません。
なお、妊娠中絶をしなければならないことになったとき、女性は男性に対し、中絶費用を請求できます。費用を出さなければ中絶しないと言われて、出さない男性は珍しいでしょう。