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交通事故

ライプニッツ係数

交通事故などの請求は、原則として一時金です。例外として年給付もあります。
 ただ、弁護士にとって年給付はかないませんし、実務上は、通常、一時期で判決されます。

 ということは、将来生ずるであろう損害について、現在の価値に換算する必要が生じます。
 つまり、現在のお金を、一定年後にいくらになっているかを計算し、その逆数(1を割った数)を出します。
 1年後、2年後、3年後・・10年後、11年後・・というふうに、1年単位で、毎年の分を「合計」していきます。

 将来得る利益の額をA、その利益が生じるまでの年数n、利率をr、現在価額をXとすると、ライプニッツ(Gottfried Wilhelm Leibniz)方式の場合は,次の算式により、単年度の現在時価を計算します。
 X=A/(1+r)^n 

 例えば、15年間、毎年100万円の給付金がある場合、年5%のライプニッツ式計算法では以下のとおりになります
 X=100万/(1+0.05)^1+100万/(1+0.05)^2+(1+0.05)^3+100万/(1+0.05)^4・・・・ +100万/(1+0.05)^15=1037万9600となります。
 分母は累乗、分母を1として、その合計を出したものを「ライプニッツ指数」といいます。
 15年のライプニッツ指数は、1037万9600÷100万=10.3796です。

 ライプニッツ指数の表をあげておきます。
 今なら、簡単にエクセルで計算できます。

1 0.9523
2 1.8594
3 2.7232
4 3.5459
5 4.3294
6 5.0756
7 5.7863
8 6.4632
9 7.1078
10 7.7217
11 8.3064
12 8.8632
13 9.3935
14 9.8986
15 10.3796
16 10.8377
17 11.274
18 11.6895
19 12.0853
20 12.4622
21 12.8211
22 13.163
23 13.4885
24 13.7986
25 14.0939
26 14.3751
27 14.643
28 14.8981
29 15.141
30 15.3724
31 15.5928
32 15.8026
33 16.0025
34 16.1929
35 16.3741
36 16.5468
37 16.7112
38 16.8678
39 17.017
40 17.159
41 17.2943
42 17.4232
43 17.5459
44 17.6627
45 17.774
46 17.88
47 17.981
48 18.0771
49 18.1687
50 18.2559

 ところで、年5%という数字は、現行の民法典が成功された明治31年(1898年)からのものだそうです。
 現在の低金利時代、少し高すぎるのではないかという意見はもっともですが、最高裁判所は、民法に書いてあるからという理由からか、低いパーセンテージで計算した原判決を破棄しています。


 損害保険会社の顧問をしている弁護士は 5%は得ですね。もつとも、損害保険会社の顧問をしている弁護士は、「原告側」で他の保険会社相手の訴訟をするのが普通ですから(医療過誤訴訟・医事紛争訴訟は、双方する弁護士は原則いません)、原告側にたつと損です。

 もっとも、5%は、例えば、サラ金や信販会社からの過払金の計算にも共通に使いますから、過払請求をする上では有利です。
 時効にかからない程度においておくと、5%の運用ができますから「おいしい」ですね。
 もっとも、サラ金は、いつつぶれるかわかりません。「元も子もなくなる」のが嫌ですから、さっさと訴訟を提起します。


 ちなみに、昔は、「ライプニッツ係数」と並んで「新ホフマン係数」も使われていましたが、今は使われていないので、説明は省略します。

 なお、ライプニッツ係数が、一般の訴訟にあらわれるのは、逸失利益(将来得たであろう所得)の計算の時で、死亡した時なら全額、後遺障害の時なら、1から「後遺障害による労働能力喪失割合」を引いたものに、得られていたであろう収入を掛けます。
 現役の人は問題ありませんが、小さい子供や専業主婦などは賃金センサスという統計をもちいます。

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