交通事故
平均余命と勤労可能年数
日本人の場合、女性は世界一ですが、男性は世界一でありません。
男性の平均寿命が世界一でない理由としてあげられるものの一つに、「自殺」があるのですからやりきれません。また、その中に「経済的な理由を原因とする」「自殺」があります。
自殺による死亡は、交通事故による死亡の3倍以上(交通事故による死亡は、事故後24時間未満に死亡した事案のみ)です。
そこで「平成19年平均余命表」 を見てみましょう。
よくある勘違いが、自分の年齢をみて、平均寿命と比べ「平均寿命-自分の年齢=あと何年生きられるか」とするものです。
しかし、平均年齢まで生きている人は「0」でしょうか、平均年齢以上に生きている人は「マイナス」=「もつと以前に死ぬべきであった」でしょうか。そんなことはありません。
平均寿命は、0歳の日本人が、これからどれだけ生きられるかを示したもので、これまで生きている人は、たとえば、危険な出産時、嬰児期などを生き抜いているのですから、もつともっと長く生きられるはずです。
平成19年平均余命表の自分の年齢の「余命」を見るのが正解です。
この表では5年刻みですが、1年刻みの表もあります。
交通事故では、1年刻みの表を使います。
基本的に、交通事故の場合「いくつまで働ける」とされるているかご存じでしょうか。
最近の年金支給の遅れを「織込んだ」わけではないでしょうが「67歳」です。
これは、私が、法律の勉強をはしめた昭和50年から変わっていません。
死亡時、あるいは、症状固定時(これ以上、良くならないと診断された時点)から67歳まで何年かを計算し、その年数に応じたライプニッツ指数(複利による将来の価値を現在の価値にひき直した数字)をかけて計算します。
ところが、67歳以上の人は「0」でしょうか。
また。67歳に近い人は、67歳で打ちきりでしょうか。
そんなことはありません。
死亡時、あるいは、症状固定時から67才までの年数が平均余命の2分の1より短くなる高齢者の労働能力喪失期間は、原則として「平均余命の2分の1」として計算するのが普通です。
つまり、そこまで元気に働いてきたのだから、余命の半分くらいは「健康に働けますよ」ということになります。