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交通事故

外貌の醜状の是正

平成22年5月27日、京都地方裁判所が、顔などに大きな傷が残った場合の後遺障害等級が、男性より女性を高い障害等級と認定する国の基準は男女平等を定めた憲法に違反するという判決を下しました。

 従前の規定は以下のとおりでした。
 1) 女子の外貌に著しい醜状を残すものは「7級」
 2) 女子の外貌に醜状を残すもの、男子の外貌に著しい醜状を残すものは「12級」
 3) 男子の外貌に醜状を残すものは「14級」

 大阪弁護士会交通事故委員会「交通事故損害賠償算定のしおり」は、大阪地方裁判所交通部(15民事部)の基準を記載したものです。

 7級の慰謝料は1030万円、12級の慰謝料は280万円、14級の慰謝料は110万円ですから、女子は「著しい醜状」「1030万円」・「醜状」「280万円」、男子は「著しい醜状」「280万円」・「醜状」「110万円」でした。

 「著しい醜状」で女子「1030万円」男子「280万円」、「醜状」で女子「280万円」男子「110万円」ということになり、「著しい醜状」など、男女で750万円の差がありました。

 著しい醜状(女子7級・男子12級)の認定基準は、整形手術後に残った傷跡が、「頭部にあっては、指を除く手の平大以上の瘢痕」「首から上のうち頭部にあっては、指を除いた手のひらくらいの大きさの傷跡または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損」「顔面部にあっては、鶏卵大以上の瘢痕、5センチメートル以上の線状痕、10円銅価以上の組織陥没」「頸部にあっては手の平大以上の瘢痕」となっていました。

 表現は難しいですが、例えば顔の場合、整形手術後に残った傷跡が、「こぶし(じゃんけんのグー)くらい以上の大きさの皮膚の傷跡、5センチメートル以上の長さの線になった傷跡、10円銅価以上の陥没があれは「著しい醜状」でした。

 著しい醜状(女子12級・男子14級)の認定基準は、整形手術後に残った傷跡が、「頭部にあっては、鶏卵大以上の瘢痕」「首から上のうち頭部にあっては、鶏卵大の傷跡または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損」「顔面部にあっては、10円銅価以上の瘢痕、3センチメートル以上の線状痕」「頸部にあっては鶏卵大以上の瘢痕」となっていました。

 表現は難しいですが、例えば顔の場合、鶏の卵ぐらいの大きさの皮膚の傷跡、5センチメートル以上の長さの線になった傷跡、10円銅価以上の陥没があれは「醜状」でした。


 京都地方裁判所の違憲判決を受けて、労災等級が変更になり、それにリンクしている交通事故の後遺症等級も改められました。
 「厚生労働省・外貌の醜状障害に関する障害等級認定基準について」をご覧下さい。

(1)外貌醜状に関する男女の等級を同一のものとする。
   男女とも、外貌に著しい醜状を残すものは「7級」です。
   男女とも、外貌に醜状を残すものは「12級」です。
(2)外貌に「相当程度の醜状を残すもの」について、9級を新設する。
   従前は「顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上のもの」は「外貌に著しい醜状を残すもの」とされていましたが、9級になりました。
   女子は7級から9級へのダウン、男子は12級から9級へのアップです。
   大阪弁護士会交通事故委員会「交通事故損害賠償算定のしおり」による慰謝料は640万円です。

 なお、労災・交通事故で、適用される事故日・症状固定日が異なります。
 詳しくは弁護士にお尋ね下さい。

 「交通事故損害賠償額算定のしおり」は、このところ変化がありませんでした。
「このところ」とは「事故時が平成17年1月1日以降」のことです。
 死亡慰謝料、後遺障害慰謝料、入通院慰謝料などです。

 デフレ傾向ですが、高くも安くもなっていません。

 昔は、交通事故の発生時によって、死亡慰謝料、後遺障害慰謝料、入通院慰謝料が、順次、高くなっていました。
「交通事故の発生時」に注意せず、古い版の本を見ると「損」をしていました。

 交通事故の時効は原則3年、古い版を見てもでも新しい版を見ても同じですが「外貌醜状」だけは、異なるということになります。

 なお、慰謝料ですが、交通事故の場合、顔について、整形手術をして、鶏の卵ぐらいの大きさの傷跡、10円銅価以上の陥没で「やっと」「280万円」です。

 配偶者の不倫に1000万円、不倫の相手方に対して500万円というのは、交通事故の慰謝料と比較して無理があります。

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