遺言・相続問題
戸籍の附票
「戸籍の附票」をご存じでしょうか。
「戸籍の附票」には、その人が戸籍に入ってから出るまで(死亡を含む)の住所すべてが記録されています。
住所を記載しているものといえば「住民票」がポピュラーですね。
住民票には、氏名、出生の年月日、男女の別、世帯主氏名、本籍、続柄、住民となった年月日、住所を定めた年月日などいろいろなことが記載されています。
原則として、プライバシー保護の観点から、「本籍」と「続柄」が省略されていることは前のコラムで記載したとおりです。
住民票は、住所地の地方公共団体で管理されているので、住所地を管轄する地方公共団体で発行してもらいます。
「戸籍の附票」には、戸籍の表示、氏名、住所、住所を定めた年月日の4つしか記載されていません。どちらにしても、その人の住所は記載されているので、「住民票」も「戸籍の附票」も同じように住所の証明になります。
「戸籍の附票」は、戸籍の所在地の地方公共団体で管理されているので、本籍地を管轄する地方公共団体で発行してもらいます。
住民票は、生まれてから今までずっと同じ市区町村に居住しているという人は、現住所と同一市町村内における住所すべてが記載され、他の市区町村から転入してきた人は、転入前の住所と同一市町村内における住所すべてが記載されています。
住民票に記載されているのはそこまでです。
その人が他の市区町村に転出した場合は、転出先の欄に転居先の住所が記載され、住民票記載の人が1人もいなくなれば、その住民票は除票になります。
その人が、他の市区町村に転居し、さらに、他の市区町村に転居した場合には、再度の転居先は除票になった住民票には記載されていません。順にとっていくしかないですね。
戸籍の附票は、戸籍の所在地の地方公共団体でとれます。
出生、結婚、あと、転籍(戸籍謄本をとりやすくするため、田舎から住所地への転籍)など、一生ずっとそのまま、あるいは、通常、2、3回程度ですね。結婚と同時に、出身地から住所地に本籍を移すということも結構あります。
住民票は、除票になってから5年間しか保存されないという問題があります。住民票の除票を交付してもらおうとしても、その住民票が除票になってから5年以上たつと発行されなくなるのです。
仮に、ある市甲市とします)から別の市に移ったのが6年前だったとしたら、甲市で住民票の除票を取ることは不可能になってしまうのです。
上のような問題を解決できるのが「戸籍の附票」です。
戸籍の附票には、甲市、乙市、丙市すべての住所が記載されています。そして、それぞれいつそこに移ったのかその日付も記載されています。甲市→乙市→丙市と住所が変わってきたことを証明しなければならないときは、本籍地の地方公共団体で、戸籍の附票を1通取るだけで証明することができるわけです。
なお、弁護士は、通常、最初に住民票や住民票の除票をとります。
しかし、調査対象者の古い住所しかわからない場合は、住民票が除表になってしまって不明ということがあります。
こんな場合でも、依頼者が、調査対象者」の昔の「住民票」や「印鑑登録証明書」の原本やコピーを持っていれば、手数はかなりかかることがありますが、「戸籍の附票」により、その人の一生の住所すべてを調査することができます。もちろん、現住所もわかります。
戸籍・除籍・改正前原戸籍は、5年という保管期間はなく、いわば永久保存ですから。
住民票上の住所や戸籍の付票上の住所は、通常は連続していますが、外国へ転居し、外国で住所を移転して日本に帰国した場合は、連続していないこともあります。
私自身の戸籍の付票も、留学中にドイツのボン市内で転居しているので連続していません。転出先の住所と転入元の住所が異なるのです。
私の場合、ボン市内で一度転勤しているだけですが(当時のボン市で手続き。ボン大使館領事部にに報告)、中には、別の都市からの出入、極端な人は別の国からの出入ということもあります。