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遺言・相続問題

戸籍と住民票

本来死亡しているはずの高齢者の戸籍と住民票が問題となっています。

 戸籍と住民票の関係についてみてみましょう。

 戸籍制度が整って以降、明治初期ごろまで本籍は居住地そのものを示していました。

 ただ、明治中期以降には本籍地以外で生活・就職する者が増え、一時「寄留法」により「寄留簿」によって本籍地以外で生活する者の把握がなされていた時期がありました。

 昭和26年に施行された住民登録法により、住所の把握は完全に住民票に任されることとなり、戸籍の附票が制定されました。そして、昭和42年には現在の法律である住民基本台帳法に引き継がれていますが、その中でも戸籍の附票の位置づけは不変です。

 日本国籍を有するもの全員、天皇陛下と皇族(「皇統譜」に記載されます)を除き、各地方公共団体に戸籍が存します。
 戸籍には、戸籍の附票が欄外に貼付されています(現在のコンピュータ化により、物理的に「貼付」されていません。ただ、戸籍と戸籍の附票は一括管理されています)。
 出生とともに戸籍の附票が作成されます。
 住民票に移転があれば、本籍地の地方公共団体に通知され、新しい住所が記載されます。
 婚姻など転籍により、本籍地が移転されれば、戸籍の附票が作成され、その時点での住所が記載されます。


 住民票は、他の地方公共団体に転居してから5年を経過すると廃棄されるようです。
 本当に廃棄しているのかどうかわかりません。
 ですから、5年以前に転居した人の住民票を取得しようとすると、転居先はわかりません。

 本籍地がわかっていれば(一時点で十分です)、本籍地を管轄する地方公共団体に、戸籍と戸籍の附票を請求します。
 転籍していれば、新しい本籍地を管轄する地方公共団体に、戸籍と戸籍の附票を請求します。
 ということで、現在、住民票がある場所がわかります。
 住民票がある地方公共団体に、住民票の請求をします。

 これで、訴訟を提起できます。

 なお、一般の人は、自分や先祖のものはともかく、他人の戸籍や、他人の戸籍の付票はとれません。
 ずいぶん前に死亡した人の相続財産について、時効による所有権移転登記の請求訴訟をしようとするときは、結構、やっかいです。
 私自身、裁判官時代、200名をこえる被告を相手とした時効による所有権移転登記の請求訴訟を担当したことがあります。


 ちなみに、私の本籍地は、和歌山県日高郡上南部村(合併のため、「南部川村」から「みなべ町」になっています)にあります。「梅」で有名なところですね。
 現在、私の本籍地には、いとこ一家が住んで、先祖伝来の田畑で農業を営んでいます。

 私の住民票は、西宮市にあります。
 西宮市に居住している以上当然ですが、本籍地を移転する必要はありませんから、戸籍は、父の田舎においたままです。

 面倒だということで、自分の住んでいるところに戸籍を移転する人も多いのですが、私自身は、せっかくの「ご先祖さん」の居住地ですから、本籍地を移すつもりはなく、出生から死亡まで変わらないでしょう。


 なお、通常の場合、住民票や戸籍の付票は、必ず連続しています。

 ただ、外国に長期間居住していると連続しないことがあります。

 私が、ドイツに留学するとき、住民票を抜いていきました。住民税がかからなくなるからです。
 当時、住所が決まっていませんでしたので、ホテルの住所を記載しました。「Rrheinufer 2 Bonn1 Bundesrepublik Deutschland」ですから「ドイツ連邦共和国ボン市ラインウーファー2番」と記載しました。
 帰国するときは、転居元は、ドイツでの居住地を記載しました。「Bonner Talweg235 Bonn1 Bundesrepublik Deutschland」ですから「ドイツ連邦共和国ボン市ボナータールヴェーク235番」です。
 その間の移転は、ボン市に届けていますから、連続していません。
 中には、転出した国と、転入してきた国が違う場合もあるでしょう。 

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