身近な法律問題
裁判長期化の類型
一般に、以下のとおりいわれています。
1 相続関係訴訟、つまり、遺留分減殺請求訴訟や遺産確認請求訴訟です。ちなみに、遺産分割は、地方裁判所の判決ではなく、家庭裁判所の審判です。
2 境界確定訴訟、つまり、土地境界確定訴訟、土地所有権確認請求訴訟です。
3 多数の事実主張のある損害賠償請求訴訟、つまり、先物取引その他の金融取引に関する損害賠償請求訴訟などです。
4 医事関係訴訟、つまり医療ミスを追求する損害賠償訴訟です。
5 建築関係訴訟、つまり、建築物に瑕疵があるとして損害賠償が求められたり、場合によっては、解の主張がなされたり、多数の追加変更工事の請負代金請求などがあります。
6 知的財産権訴訟、つまり、特許権等に関する訴えと、意匠権等に関する訴えなどです。
7 労働関係訴訟、つまり、解雇された労働者が、その解雇が無効であると主張して使用者を相手に提起する地位確認請求事件や、労働者が、使用者が賃金を支払わないと主張して、使用者を相手に提起する賃金請求事件などです。
8 行政事件訴訟、つまり、取消訴訟(行政庁の処分等の取消しを求める訴訟)と民衆訴訟の一つである住民訴訟などです。
9 その他専門的知見を要する訴訟、つまり、医事関係訴訟、建築関係訴訟、知的財産権訴訟、労働関係訴訟及び行政事件訴訟以外で、専門的な知見を要する訴訟です。
典型例としては、コンピュータ・ソフトウェアの開発請負契約に基づく代金支払請求訴訟、複雑な機械に関する事故瑕疵を理由とする損害賠償請求訴訟、製造物責任訴訟などです。
それぞれについて、事件が長期化する理由が、それぞれ考られています。
弁護士も、事件単価×回転数で収入が計算されますから、事件の長期化は好ましくありません。
よって、長期化が予想される事件の着手金は割高にせざるをえません。
次のエントリー以下で、それぞれの事件類型ごとの長期化について検討してみましょう。