身近な法律問題
面談禁止の仮処分
弁護士がついているのに、相手が「不合理な行動」に出る場合があります。
「弁護士と話をするように」「本人に連絡しないように」と内容証明郵便を出しても、「本人に連絡しよ」とする人がいます。
なお、ここでの話は、ストーカーなど犯罪行為は想定していません。個人間の金銭貸借、隣人間の争い、交通事故など民事事件の話です。
ということは、警察に行っても、刑事事件としては受理してもらえません。
この場合、裁判所に仮処分をもらうという方法があります。
弁護士に内容証明郵便を出してもらい、内容証明郵便到達後に、直接本人と何回か交渉しようとしたという証拠があれば(録音、写真、録画など)、通常、裁判所は、相手を呼び出して反論の機会を与えた上で、「代理人である弁護士と交渉せよ」「自宅や会社への来訪、会社・自宅・携帯電話などに電話をかけたりして、本人とは交渉してはならない」という「面談禁止」の仮処分を出します。
弁護士の着手金の他に、裁判所に保証金を積まなければなりませんが(通常、全額かえってきます)、自分の貴重な時間を、不愉快な紛争のために犠牲にしなければならないことを避けるためには、やむを得ない支出ではないでしょうか。
普通、裁判所からの命令が出れば、従う人が圧倒的です。
しかし、裁判所の仮処分を無視する人がいないとは限りません。
その点はご安心ください。
裁判所の仮処分が出ている場合、これを無視すると、「強要」「脅迫」という「立派な」「犯罪」となり、仮処分命令と、録音、写真、録画などの「証拠」をもって、警察に行けば、刑事事件としては受理・立件してもらえます。
何でしたら、弁護士が同伴して、あるいは、弁護士が代理人として、被害届や告訴状出すことも可能です。
個人間の金銭貸借、隣人間の争い、交通事故など民事事件、その他通常の民事事件という前提ですから、逮捕の可能性を無視して無茶をする人は、ほとんど、ないといっていいでしょう。
なお、ストーカーなど犯罪行為の場合も、事案によっては(とりわけ、犯罪者の順遵法意識に期待できるとき)、いきなり、被害届や刑事告訴などせずまず、弁護士名の内容証明郵便を出したあと、従わなければ「面談禁止」の仮処分をとることがあります。
つまり、ケースバイケースということになります。