身近な法律問題
再審と差戻し審
「再審」は、「確定している」「前件の判断は正しい」ということが大前提です。
そして前裁判に出ていない「新しい証拠が」証拠が提出されるなどしたため、もとの裁判が
正しいかどうか、もう一度、審理するという制度です。
「差戻し審」は、「確定していない」「前件の判断は誤っている」と上級審が判断し、ただ、
判断が誤っているため証拠調べなど審理が不十分だから、もとの裁判所で再度審理させると
いう制度です。
「再審」は、「前件の判断は正しい」という前提ですから、同一裁判所の「同一部」で審理
するという各裁判所の内規で定められています。
日時の経過とともに、裁判官は転勤などで、構成メンバーは様変わりしている可能性が
ありますが、一番事件を知っていて、前件で正しい判断をした、同一裁判所の「同一部」で
審理をするということになります。
なお、「再審」が認められたという事例が大きく報道されていますから、「再審」が認めら
れる事例が多いと錯覚するだけで、ほとんどの再審請求(特に民事裁判)は「言いがかり」
で、認められる確率は非常に低いと考えていただければ結構です。刑事も同様です。
前述のとおり、誤った判決は、上訴審で改めるというのが基本です。
これに対し、「差戻し審」は、「確定していない」「前件の判断は誤っている」と上級審が
判断した事例ですから、同じ裁判所がするのはともかく、同じ部で審理したのでは、「また」「間違える」可能性がありますから、同じ部での審理は相当ではありません。
日時の経過とともに、裁判官は転勤などで、構成メンバーは様変わりしている可能性があっても同じです。各裁判所の内規により他の部で審理されます。
大阪高等裁判所のように、民事部だけで14部もあれば、他の部への配点など簡単ですし、内規により、差戻された部には配点しません。
しかし、広島高等裁判所の岡山支部や松江支部などは、民事部が1つしかありません。
広島高等裁判所の岡山支部や松江支部の民事部がした裁判について、最高裁判所が差戻しをするとき、広島高等裁判所岡山支部や広島高等裁判所松江支部ではなく、広島高等裁判所(本庁)に差戻すのが通常です。
広島高等裁判所岡山支部や広島高等裁判所松江支部に差戻しをしたのでは、刑事部で審理するか、同一民事部での審理になり、また、誤った判決をするかもしれませんから。