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身近な法律問題

弁護士の八百長

弁護士は「八百長」をしないのでしょうか
 つまり、弁護士が「わざと」「手を抜く」ということがないかどうかです。

 相談者が、訴訟や調停をおこされた場合、相手方が依頼している弁護士はわかります。
 私が、相手方が依頼している弁護士を知っているというと、「どんな関係ですか」とか聞かれたり、特に、年長の弁護士さんだと、「なれ合い」で「自分に不利にならないか」心配される方もおられます。

 まず、「なれ合い」や「わざと」「手を抜く」ということはありえません。
 弁護士は、自分の依頼者が得た「経済的利益」を計算し、その一定部分を「報酬」として受領するわけですから、依頼者と弁護士の利害関係は一致します。

 ただ、そんな心配をされる相談者の場合、仮に敗訴した場合、「わざと」「手を抜」いたと思われても嫌ですから、受任は遠慮することが多いです。

 もっとも、私が経験年数を積むにしたがって(裁判官と弁護士の通算で丸32年間になろうとしています)、年長の弁護士さんが少なくなり、ほとんど年少の弁護士さん相手となっていますから、「なれ合い」で「自分に不利にならないか」という心配よりは、逆に、「有利になるのでは」と思われる方もおられますが、そう「甘い」ものではありません。

 ただ、弁護士が、「わざと負ける」可能性がないわけではありません。
 どのようにして、「わざと負ける」ことを防いでいるのでしょうか。

 相手から、賄賂を受け取る弁護士がいないとも限りません。

 弁護士法26条には以下のとおり定められています。
「 弁護士は、受任している事件に関し相手方から利益を受け、又はこれを要求し、若しくは約束してはならない」
 罰則は、弁護士法76条にあります。
「 26条又は第30の20の規定に違反した者は、3年以下の懲役に処する」
 また、懲戒事由になります。

 弁護士が、自分より、個人的に相手と親しい場合もありえます。

 弁護士法25条には以下のとおり定められています。
「 弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。ただし、第3号及び第9号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
 一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
 二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
 三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
 四 公務員として職務上取り扱つた事件
 五 仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件
 (以下、略)」

 また、弁護士職務基本規程27条には以下のとおり定められています。
「 弁護士は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第三号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
 一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
 二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
 三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
 四 公務員として職務上取り扱った事件
 五 仲裁、調停、和解斡旋その他の裁判外紛争解決手続機関の手続実施者として取り扱
った事件

 弁護士職務基本規程28条には以下のとおり定められています。
「 前条に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第一号及び第四号に掲げる事件についてその依頼者が同意した場合、第二号に掲げる事件についてその依頼者及び相手方が同意した場合並びに第三号に掲げる事件についてその依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合は、この限りでない。
 一 相手方が配偶者、直系血族、兄弟姉妹又は同居の親族である事件
 二 受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供を約している者を相手
方とする事件
 三 依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件
 四 依頼者の利益と自己の経済的利益が相反する事件」


 前記のとおり「弁護士がわざと負てはならない」という規定はありません。

 もっとも、弁護士も、ある意味「商売」です。
 例外の事件はありますが、たいていの民事事件は、着手金を「1」とすれば、全部勝訴した場合の成功報酬は2、全部敗訴した場合の成功報酬は「0」です。

 「依頼者の利益」は「弁護士の利益」ということがおわかりになると思います。
 「わざと」負ける余裕のある弁護士はいないと思います。

西野法律事務所
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