身近な法律問題
マネーローンダリング防止の弁護士の職務
銀行等金融機関や保険会社の身分確認等の義務づけをを目的としています。金融機関や保険会社だけではなく、ファイナンス・リース業者、クレジット・カード業者、宅地建物取引業者、貴金属等取引業者、郵便物受取・電話受付サービス業者も含まれます。
その他、 2条39号に「特定事業者」として弁護士も含まれています。同乗に、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士も同様です。
いずれも、他人のお金を預かる職業です。
内容ですが、4条2項に「特定事業者は、顧客等の本人確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために当該特定事業者との間で特定取引を行うときその他の当該特定事業者との間で現に特定取引の任に当たっている自然人が当該顧客等と異なるときは、当該顧客等の本人確認に加え、当該特定取引の任に当たっている自然人についても、本人確認を行わなければならない」と定められています。
ただ、弁護士については、業務の特殊性に鑑みて、特別の定めがなされています。つまり8条に、以下のとおり定められています。
「1 弁護士等による顧客等又は代表者等の本人確認、本人確認記録の作成及び保存並びに取引記録等の作成及び保存に相当する措置については、2条2項40号から43号までに掲げる特定事業者の例に準じて日本弁護士連合会の会則で定めるところによる。
2 5条の規定は、前項の規定により定められた日本弁護士連合会の会則の規定により弁護士等が行う本人確認に相当する措置について準用する。
3 政府及び日本弁護士連合会は、犯罪による収益の移転防止に関し、相互に協力するものとする」
そして、唯一、弁護士だけが、法律や政令などではなく、日本弁護士連合会の会則で自律的に定めるようになっています。
「依頼者の身元確認及び記録保存等に関する規程」です。
弁護士が、依頼者などから金銭を預かる場合には、本人確認が必要ですから、ご協力をしていただかなければなりません。
法律事務所の机には、パンフレットが置かれていることが多いです。
ちなみに、金融機関や保険会社などは「一定の犯罪行為から生じた財産などであるとの疑いや、一定の犯罪行為から生じた財産などを隠匿しようとしているとの疑い等があるときには、国(監督官庁)に届出をしなければならない」と規定されています。
当然罰則つきです。
つまり「密告」されます。
しかし、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士については「疑わしい取引の届出の義務者」から除かれています。
弁護士には、「疑わしい取引の届出」をする義務はありません。
ですから、弁護士に相談して「密告」されるという心配はありません。
ただ、弁護士が「疑わしい取引」と判断した時は受任してはなりませんし、受任した後に知った場合は、ただちに辞任しなければなりません。