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身近な法律問題

大事務所の利害相反

 私は弁護士1人で法律事務所を経営しています。

 利害が対立する依頼者がくれば、すぐわかります。
 全部の事件を記憶しているわけではなく、例えば、債務整理のような定型的な事件は、どのような事件かいわれて、即答できるとは限りません。
 また、終了後3年以上たって、保管庫に移してある古い事件については、記録を引っ張り出すか、コンピュータの事件ファイルの全文をサーチすることになります。

 私が委任を受けたり、つっこんだ相談を受けた事件の相談者を相手方として訴訟などの提起はできません。
 たとえ事件は全く異なっていても、自分の秘密を知っている弁護士が、敵方の代理人になったのではたまったものではありませんね。
 弁護士は1人ですから、よほどのことがない限り、自分の過去の依頼者を忘れることはありません。


 なお、複数の弁護士のいる事務所は大変です。
 他の弁護士がしている事件を知らないことがあります。

 規模のとてつもなく大きい事務所は、なお大変でしょう。

 弁護士職務基本規程(弁護士倫理)には以下のとおり定められています。

「(遵守のための措置)
第55条 複数の弁護士が法律事務所を共にする場合(以下この法律事務所を「共同事務所」という)において、その共同事務所に所属する弁護士を監督する権限のある弁護士は、所属弁護士がこの規程を遵守するための必要な措置をとるように努める。
(秘密の保持)
第56条 所属弁護士は、他の所属弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らし、又は利用してはならない。その共同事務所の所属弁護士でなくなった後も、同様とする。
(職務を行い得ない事件)
第57条 所属弁護士は、他の所属弁護士(所属弁護士であった場合を含む)が、第27条又は第28条の規定により職務を行い得ない事件については、職務を行ってはならない。ただし、職務の公正を保ち得る事由があるときは、この限りでない。
(同前ー受任後)
第58条 所属弁護士は、事件を受任した後に前条に該当する事由があることを知ったときは、速やかに、依頼者にその事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
(事件情報の記録等)
第59条 所属弁護士は、職務を行い得ない事件の受任を防止するため、他の所属弁護士と共同して、取扱い事件の依頼者、相手方及び事件名の記録その他の措置をとるように努める。」

 大変ですね。
 通常は、受任しようとするとき、コンピュータを操作して、同じ事務所の他の弁護士が相手の事件を受任して否かどうかチェックするそうです。

 ただ、当事者の名前は内縁の妻であっても、実質的な当事者は内縁の夫である場合があり、どうしてもバッティングすること自体は防げません。
「速やかに、依頼者にその事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない」となっています。

西野法律事務所
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