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身近な法律問題

弁護士費用のクレジット払い

クレジットカードが普及してきました。

 病院・診療所など医療機関の診察・治療費や、電気・ガス代など光熱費はクレジットカードで支払えるようになりましたし、将来的には、水道料金や地方税などもクレジットカードで支払えるようになる見込みです(なお、一部の地方公共団体では実施すみです)。

 クレジットカード払いのメリットとしては、多額の現金の持歩きが不要、ポイント・マイルがたまる、リボルビング支払にすれば分割支払可能というところでしょう。

 弁護士の着手金や報酬はクレジットカードで支払えるでしょうか。

 まず、クレジットカード支払いを認めている弁護士は、ごくごく希です。

 クレジットカード支払いを認めるためには、クレジット会社の特約店になる必要がありますが、特約店になるためには、法律事務所の守秘義務のある事項までクレジット会社に開示しなければならないからです。
 本来は好ましくないのでしょうが、現実問題としては、弁護士の着手金や報酬のクレジットカードでの支払を認めている法律事務所がないというわけではありません。
 ビザ・マスター・JCBなどの加盟店の表示が堂々とされています。どのようにして守秘義務の問題をクリアしているのかわかりませんし、もしかしたら、クリアされてないのかも知れません。

 また、弁護士としても、クレジットカード支払いをされると、クレジット会社に対し、手数料を支払わなければならないので、銀行振込か手渡しが得という点があります。
 もっとも、依頼者に、弁護士費用の一括支払の能力がない場合、分割して受け取るよりは、クレジット会社に手数料を支払っても、弁護士は一括で立替えてもらって、あとは、依頼者がリボルビングでクレジット会社に支払ってもらうう方が得という場合もありますから、守秘義務の問題さえクリアできれば(クレジット会社からの情報開示を拒否できる特約が入れば)、加盟店として登録したいという弁護士は多いと思います。
 病院など医療機関や地方自治体も、法律事務所同様、守秘義務の「かたまり」のような気がしますから、クレジット会社さえ妥協できれば、クリアできる問題なのかも知れません。

 現在は無理ですが、将来的には、弁護士の着手金や報酬はクレジットカードで支払えるようになるのではないでしょうか。


 なお、以上の話は、あくまで、自己破産、個人民事再生、任意整理など債務整理系を除いた一般事件の話です。
 自己破産、個人民事再生、任意整理の「着手金」に本人のクレジットカードを使うわけにもいきません(少なくとも、クレジット会社に対する着手金分の債務を踏み倒すことを隠しているわけですから、端的にいって「詐欺」になります)。
 また、任意整理の「成功報酬」に本人のクレジットカードを使うわけにもいきません(ブラックリストにのって、クレジットカードが使用不能となっています)。
 これらの事件については、将来に渡っても、クレジットカードで支払えるようになることはないでしょう。
 依頼者の本音を言えば、一番、クレジットカード支払いをしたい事件なんでしょうが・・・

 (平成20年12月4日追補)

「 平成20年11月18日付けで「弁護士報酬等のクレジットカード決済について」の意見照会が日弁連から各単位会宛てに出されました。この意見は日弁連の業革委員会から出されたものです。意見の趣旨は、弁護士の報酬及び実費(以下「弁護士報酬等」という)を受領する場合に、クレジットカード事業者への立替払金の支払いを1回とする支払方法が取られているなど、弁護士、弁護士法人、外国法事務取扱弁護士(以下、「弁護士等」という)がガイドラインに従う場合に限り、加盟店契約を締結したクレジット会社のクレジットカードによる決済を利用するか否かは、弁護士等各自の判断に委ねることとし、日弁連として、あえてかかる利用を自粛するように弁護士等に求めるべきではないとする内容です。
 一方、平成4年見解で問題とされた非弁提携禁止との関係では、事務手数料が3%以下のような低額なものである場合には、社会通念に照らして、非弁提携禁止に該当するおそれはないと考えています。さらに弁護士の秘密保持義務の関係では、依頼者と弁護士との間で紛争が生じた際には、事業者との契約により、弁護士等が事業者に対し立替金を返還し、依頼者との直接的な関係として処理することとし、事業者への安易な情報開示を防止するような対策を講じておくことで、秘密保持義務の問題はクリアーできるとしています。」

 という連絡がまいりました。
 ただ、当事務所は、クレジット契約を扱う予定はございません。

西野法律事務所
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