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身近な法律問題

個人情報保護法と弁護士

「個人情報保護法」 という法律があります。

 大多数の法律事務所は、まず、規模の関係で、個人情報保護法の刑事罰の適用はありません。

 個人情報の保護に関する法律施行令2条に「個人情報取扱事業者は、「当該個人情報データベース等の全部又は一部を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数を除く)の合計が過去6月以内のいずれの日においても5000を超えない者とする」ものが除外されると記載されています。

 少なくとも、私の法律事務所は、現在も、過去も、また、将来においても、顧客の数が5000を超えるはずはありません。
 ということで、私は個人情報取扱事業者から除外されます。
 弁護士2、3人程度までの法律事務所は、基本的にみんなそうでしょう。

 なお、情報保護法32条1項2号に「個人情報取扱事業者が行う個人情報の取扱いのうち前号に掲げるもの以外のものについては、当該 個人情報取扱事業者が行う事業を所管する大臣等」とありまります。
 しかし、弁護士には主務大臣がありません。法務大臣は主務大臣ではありません。
 「主務大臣の命令違反」が罰則の基本ですから、主務大臣がいない以上、命令自体がなく、命令がない以上、処罰の受けようがありません。

 ということは、法律事務所の大きい小さいにかかわらず、弁護士は、主務官庁がない以上、誰からの命令もありませんし、刑事罰を受けることはあり得ません。

 ただ、弁護士の場合、「守秘義務」にはかなりナーバスです。

 刑事上は、刑事罰を受けることは絶対あり得なくても、民事上の請求が怖いのです。
 法律事務所は「個人情報」=「秘密のかたまり」ですから、個人情報が漏洩すると、簡単に損害賠償責任が認められます。
 その内容からしても、金額は「ごっつい」ものになります。

 当然、弁護士責任賠償保険をかけるのですが、はっきりいって結構保険料は高いですし、また、弁護士は「信用商売」という要素が大きいので、個人情報が漏れたりすると信用をいっぺんになくします。

 一般に、法律事務所では、紙ベースでは、かなり厳重に保管されています。
 法律事務所のシュレッダーは、フル回転ですからあまり長持ちしません。下手をすると、保証期間までに「寿命」が来てしまいます。

 ただ、弁護士は、一般に理科系に強くないということで、コンピュータ関係で、情報は結構漏れます。
 ウィルスにかかったコンピュータを使用したりする弁護士さんは後を絶ちません。
 ウィルスの関係で、とんでもないファイルが、知合いの弁護士さんから送付されてきます。
 弁護士宛に来たから良かったものの、そうでなければ大騒ぎでしょうね。

 「紺屋の白袴」とはよくいったもので、個人情報保護に神経質になる弁護士さん自身が、自分の個人情報には、案外無頓着だったりします。

西野法律事務所
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