身近な法律問題
地方裁判所の裁判官と高等裁判所の裁判官
先日、依頼者に「地方裁判所の裁判官と、高等裁判所の裁判官とでは、高等裁判所の裁判官の方がえらいんですか?」と聞かれました。
裁判官5年経過するまでは、高等裁判所の裁判官にはなれませんが、6年目から高等裁判所の裁判官になる資格はできます。
普通は、地方裁判所・家庭裁判所勤務が基本で、ときたま、高等裁判所に勤務したりと往復を繰り返しながら、裁判官は出世していくものですから、どちらが「えらい」というものではありません。
もちろん、地方裁判所の裁判官の平均年齢と、高等裁判所の裁判官の平均年齢では、高等裁判所の裁判官の平均年齢が、圧倒的に上でしょうから、高等裁判所の裁判官のほうが、「えらい」といえば「えらい」のかも知れません。
もっとも、地方裁判所裁判官は、3人で判決することもあれば(合議)、1人で判決することもあります(単独)。それに対して、高等裁判所の裁判官は3人(一部5人という例外があります)の合議でしか裁判しません。
ということで、単独裁判をすれば「危なっかしい」裁判官(基本的な能力の問題もありますし、政治的思想の偏りの問題もありえます)は、地方裁判所に勤務させず、高等裁判所に勤務させることもありえるのです。
地方の裁判所の支部、家庭裁判所少年、高等裁判所と、転々としている裁判官もおられます。
なお、弁護士から、裁判官になる制度(弁護士任官制度)があります。
通常、弁護士任官した裁判官の、最初の配属先は、高等裁判所です。
いきなり、1人で判決を書いてもらうということは重荷ですし、変わった判決が出てもかないません。
ちなみに、キャリアの裁判官は、法律上、最初の5年は合議体の一員で、単独では裁判はできません。家庭裁判所の少年事件は、3年経験していれば、1人で扱えます。