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身近な法律問題

17条決定

民事調停法に以下の規定があります。

「17条 裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衝平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、受事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。
第18条
1項 前条の決定に対しては、当事者又は利害関係人は、異議の申立をすることができる。その期間は、当事者が決定の告知を受けた日から2週間とする。
2項 前項の期間内に異議の申立があつたときは、同項の決定は、その効力を失う。
3項 第1項の期間内に異議の申立がないときは、同項の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。」

 調停でお互いの意見が折り合わず、話し合いの見込みがない場合に、手続を打切り、裁判所が適切だと思われる解決案を示すことがあります。

 ある程度、まとまりそうになっているのに、お互いに意地になって調停が成立しない、あるいは、会社の稟議、地方公共団体の議会対策など、裁判所の「お墨付き」がほしい場合もあります。
 裁判所の決定なら、「面子がたもてる」「稟議もとおりやすい」「後から責任追及されない」ということですね。

 このような場合、裁判所は「調停にかわる決定」、通称「17条決定」をすることがあります。
 2週間以内に、どちらかの当事者が異議を述べれば白紙になりますが、異議を述べなければ調停と同じ効力、つまり判決と同じく執行力、既判力をもちます。
 当事者の事後的な消極的承諾を要件として決定に拘束力をもたせるものといえます。

 ちなみに、調停以外でも、もちいられることがあります。
 民事調停法20条には以下のとおり定められています。
「受訴裁判所は、適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付した上、管轄裁判所に処理させ又はみずから処理することができる」と定められています。

 過払い金返還請求事件などで、経営の苦しく、まともな言い分のない消費者金融などについて、弁論期日を2、3回続行し、弁論を終結して判決を「淡々」とする裁判官が多いですが、ある程度、双方の「本音」を聞き、ある程度歩み寄った17条決定をする裁判官もふえています。

西野法律事務所
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