身近な法律問題
保全処分
例えば、金銭請求を弁護士に依頼したとします。
交通事故で、任意保険に入っていれば、勝訴すれば確実に保険会社が支払ってくれますから、勝訴することに専念すればよいわけです。
大手のサラ金相手の過払金返還訴訟も同じで、勝訴すれば確実にお金が入ってきます。
しかし、一般の人を相手にする訴訟、あるいは、個人営業同然の会社を相手にする訴訟の場合は、勝訴しても、お金を支払ってくれるという保証はありません。
というより、訴訟を提起されたり、敗色濃厚となった時点で、財産隠しをされてしまう恐れがあります。
あらかじめ、不動産、預金などについて、仮差押えをしておく方がいいと思います。
事案により金額が異なるのですが、請求額の20%~30%程度の担保提供が命じられます。
勝訴すれば戻ってきます。
また、土地の所有権移転の訴訟を提起するとします。
その場合には、悪質な相手であれば、他人に土地を譲渡する登記をしたり、ありもしない抵当権を設定されてしまうことがあります。
仮処分(処分禁止の仮処分)をしておく方がいいと思います。
事案により金額が異なるのですが、やはり担保提供が必要です。担保提供は、一概にはいえません。やはり、勝訴すれば戻ってきます。
他にも、労働事件で賃金の仮払いを求めたり、建築物の建築を差止めたり、競業行為を差止めたりする仮処分(仮の地位を定める仮処分)などを申し立てることがあります。
裁判所が相手方を呼び出し、双方に主張・疎明をさせる手続きをとるのですが、現実には、仮処分手続きで和解ができたり、仮処分の決定のみで、紛争が解決するということが多いです。