身近な法律問題
上手な法律相談の受け方
例えば、大阪弁護士会の平日昼間の法律相談であれば、多数の相談担当弁護士がいますから、一人の相談者あたり、原則30分の相談時間を1時間に延長することは難しくありません。
しかし、地方自治体の法律相談などでは、1件30分、午後1時から4時30分までの3時間、1時間あたり2件で7件と、びっしり予約が入っていることがあり、これでは、延長しようにも延長できません。
そして、相談者と、相談を受ける弁護士との間で、どういうことが重要であるかについて食い違いがあることがあります。
「人生相談」なら、話を聞いてあげるだけでよいのでしょうが、「法律相談」はそうはいきません。
例えば、相続事案で「長女は嫁にいって姓が変わっている」というのは、法律からして無意味な情報です。
こんな話をしていると、相談時間の制限内におさまりませんから、弁護士が話をさえぎって、法律的に意味のあるポイントを聞くことになります。経験的にいって、法律的に意味のないことを一つ聞いてくる人は、次から次へと法律的に意味のないことを聞いてくる場合が多いものです。
もちろん、相談時間に制約さえなければ、一応しゃべってもらったうえで「それは法律的な意味はありませんね」と答えるだけで、話をさえぎる必要はありません。
弁護士が「私の話を聞こうとしない」というのは、多くの場合、法律的に意味のない話だから、聞いても聞かなくても同じで時間の無駄、それより肝心の点について聞きたいという場合が多いのです。
もちろん、弁護士にもいろいろおられますから、高圧的な相談をされる方も中にはおられるようで、特定の弁護士への苦情が、弁護士会(大阪弁護士会にも「市民窓口」という苦情受付窓口があります。私も、かつて担当したことがあります)に集中することもあるやに聞いています。
ただ、法律相談を受けるときは、自分が重要と思っていることと、弁護士が重要であると思っていることが、必ずしも一致しないということを頭に置いておいて下さい。
なお、相続の場合でしたら、相続不動産の時価などは、あらかじめ調べておいてくれたほうが良いと思います。
交通事故の場合は、事故の態様(自動車、バイク、歩行者。交差点か道路か。進行方向。道路の広さ。交通標識。スピード)などを、よく整理し、図面にまとめてくれればスムーズですし、保険会社職員の示談案の書かれた紙を忘れてくるということはしない方がよいでしょう。
債務整理の場合は、債務の一覧表(どころか借りているか。いつから借りているか。現在いくら借りているか。現在毎月いくら返しているか)を持ってきていただければ、話はスムーズに行きますし、自宅をお持ちでしたら、自宅の売却したときのおおざっぱな価値は調べておいた方がよいでしょう。
次に、法律相談を受けるときは、あらかじめ、聞きたい点を自分なりに整理してからいきましょう。
肝心な点ついて「わからない」というのでは、回答のしようがない場合もあります。「こう仮定すると、このようになり、そう仮定すると、そのようになる」と答えることは時間の制約もありますし、混乱させるだけですから、「確認してから、もう一度相談に来てください」とお答えすることになります。
なお、自分の相談ではなく、家族の相談について、家族が仕事で忙しいから代わりに来たという方がおられますが、肝心の点ついて聞いていないということがわかり、もう一度ということになり、時間の無駄ということになってしまいます。
また、自分の相談は自分でいきましょう。大阪弁護士会では、土曜相談や、夜間相談を実施しています。
なお、法律相談の約束の時間は、厳守してください。
来るのが遅れた場合、弁護士の次の予定との関係で、十分時間がとれない場合があります。