身近な法律問題
意地訴訟-医事紛争
「意地訴訟」は「医事訴訟」の変換ミスではありません。
当事者が、意地になるため、訴訟が遅延してお互いが損になる場合があるのは「医事訴訟」も同じです。
医事訴訟は、説明するまでもなく、医療にミスがあったことを原因とする損害賠償請求訴訟です。
昔は、大抵、医師側が勝っていました。
私も、かつて、医師側の代理人として仕事をしていたことがあります。
医療に関する専門的知見を通常有していない当事者・代理人、裁判所にとっては、紛争の実態ないし争点の把握・理解が困難であり、主張及び証拠の検討・整理等に時間がかかるため、争点整理期間が長くなる傾向にあります。
鑑定をするのですが、適切な鑑定人候補者が見つからなかったり、見つかってもなかなか引き受けてもらえず、鑑定人を選任するまでに時間がかかることがあります。
また、鑑定人選任後、鑑定人の多忙等により、鑑定書が提出されるまでに時間を要することがあります。
さらに、鑑定書の提出後、鑑定結果が自己に不利益であった当事者が、専門家に相談するなどして、鑑定書に対する反論・反証を準備することとなり、それに時間を要することもあります。
大阪には、医事集中部が3部あり、東京には、もっと部があるでしょう。
被告弁護士は、もちろん専門化しています。
原告弁護士も、専門化してきています。
ただ、このところ、医師に「やたら高い注意義務」を課して、「注意義務違反」があったから賠償。わずかの説明不足があったから賠償、などなど、医師側受難の時代ですから、「勝率も高いし」「賠償額も大きい」「金になる」と目をつけた弁護士が、参入していますから、原告側の弁護士の、平均的レベルは落ちてきています。
なお、結果が、わかっていれば、誰でも言いたいことがいえます。
結果が、わかっていれば、私は、立派な「野球評論家」になります。
こんなことをしていては、特定の科目の医師がいなくなるでしょう。
ただでさえ、少子化により患者の少なくなった産婦人科、小児科のなり手は減っています。
産婦人科、小児科は減る一方です。
ちなみに、結果も結果ですが、案外、誠意を持って一生懸命すれば、多少の落ち度があったとしても、訴訟にはならないような感じがします。
自業自得ですが「横柄」な態度をとると、やられます。
医事訴訟も、意地訴訟的な要素を持ちます。
この意味では、弁護士も同じ。誠意を持って一生懸命すれば、多少の落ち度があったとしても文句は言われません。
負けても、中元や歳暮を贈ってくれる人がいます。
なお、弁護士過誤訴訟は少ないですね。
裁判官の「能力の有無」で、訴訟をおこされたら、たまったものではありません。