身近な法律問題
意地訴訟-少額の訴訟
当事者が、意地になるため、訴訟が遅延してお互いが損になる場合があるのは「少額訴訟」も同じです。
少額すぎて、勝っても負けても「経済的に大差はなく」、単なる面子の問題という訴訟があります。
通常は、証拠調べの前であっても、おおよその結論はわかっている事件では、裁判官が和解勧告すれば、判決は勧告された和解内容になるものとして和解を依頼者に勧めることになりますが、訴額が小さい場合に限って「先生、負けてもいいから徹底的にやってください」といわれることがあります。
さらに「控訴して下さい」「上告して下さい」といわれることもあります。
私の場合、基本的に、事件でボランティア活動をするつもりはありませんので、顧問会社の事件、「いい事件」を継続的に紹介してもらっている紹介者から依頼された事件、多額の遺言の執行者になっている本人の事件のみしか代理人となりません。
そうなると、無理に「和解しなさい」とは言えません。また、控訴程度ならおつきあいします。
ただ、相手方弁護士には、「格別の事情がないのではないか」「よくやるよ」「つきあわされては、かなわない」と思うことが時々あります。
相手が、裁判官・検察官のOBで自宅を事務所にしている場合、「イソ弁」で給与は保障され、かつ、時間を持て余している場合、あるいは、ボス弁が「勉強のため」と黙認している場合などです。
なお、私は、損害保険会社の顧問をしたことはありませんが、顧問をされている弁護士さんから「弁護士費用特約付」の事件は、「最初から弁護士費用の心配がないので、少額事件が結構ある」と聞いたことがあります。
判決認容金額より、弁護士に払われる報酬額が大きくて(弁護士報酬の支払は、本人に通知されます)、依頼者に「八つ当たり」されることもあるそうです。
もっとも、損害保険会社の顧問は、訴額が大きくても割安の報酬というのが相場ですから、「数が増えるのだから」あながち「悪くない」「収入源」というのが、損害保険会社顧問の弁護士さんの一般的な考えのようです。