身近な法律問題
訴えますか
テレビ番組をみていると「こういう場合には慰謝料が取れるか」というのがあります。
バラエティー番組ですから、複数の弁護士の意見が一致してはおもしろくないので、わざと、意見が一致しないような質問をつくっているのでしょう。
もちろん、番組のような事件が現実に裁判になり、判決が出ているのなら、「大阪地方裁判所に判例がある。判例のとおりである」「大阪地方裁判所の判例はあるが、判例は誤りである」という意見の不一致になるのですが、そうはなっていないようです。
日本人は、あまり訴訟を好まないようです。
慰謝料について、日本の裁判所の認定する金額が低すぎるということもあるでしょう。
有名人の名誉毀損による損害賠償なら、「白黒をつける」という意味で、損害認容額など問題にせずに、徹底的に争うということもあるでしょう。
しかし、通常、裁判所に訴えるための弁護士費用、訴訟にかかる時間、相手方からの答弁書や準備書面で不愉快になること、敗訴の危険などのデメリットを補うほど多額の慰謝料は認容されないことが多いですから、訴訟も起きないのでしょう。
交通事故の加害者に対する慰謝料請求、離婚訴訟における配偶者相手の慰謝料請求、不倫の相手方への慰謝料請求など「定番」を除けば、あまり慰謝料請求はなされないというのが現実のように思います。