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身近な法律問題

老齢となった弁護士

裁判官を定年退官された方がいるとします。65歳になっています。
検察官を定年退官された方がいるとします。63歳になっています。
公証人(裁判官・検察官を定年前に退職した法曹資格者です)を定年退官された方がいるとします。70歳になっています。

 これらの場合、「一線で弁護士をする」という元気な方々もおられます。
 もちろん、これまでの法律知識を生かして、立場を変えて弁護士として仕事をされる意欲・体力があるなら、それにことたことはありません。

 しかし、普通は、退職金・年金で悠々暮らしていけるわけですから、客員弁護士(他の弁護士とちがい、一線で仕事をしません。また、毎日出勤するわけでもありません)になったり、どこかの法律事務所に籍だけおかせてもらったり、自宅を法律事務所として、弁護士になる方が結構おられます。

 もちろん「弁護士」という「肩書き」がほしいからです。
 住所と氏名だけを書いた、職業のない「名刺」はさみしいものです。
 ただ、対価は安くはありません。
 登録するとき60万円、以後、毎月4万4000円、弁護士会費を支払わなければなりません。
 もちろん、退職金・年金で悠々出せるのでしょうから、「弁護士登録」をする方が、完全な多数派です。

 ただ、人間は、必ず老いて死にます。
 これは、司法修習終了後、最初から弁護士になった人であるか、裁判官や検察官を退官して弁護士になった人であるかを問いません。

 また、高齢のため、あるいは、重病のため働けなくなる弁護士さんもいます。

 そうなると、毎月4万4000円の弁護士会費を支払えなくなるため、退会して弁護士資格を喪失することになるのでしょうか。
 そんなことはありません。

 大阪弁護士会会則161条に特別な事情(註。疾病や老齢による執務不能などのことです)がある会員については「常議員会」の議決で、会費を減額・免除することができます。
 なお、弁護士会の意思決定機関としては、最上位が「総会」(会社でいえば株主総会に近い)であり、すべての議決を総会でするわけにいきませんので「常議員会」があり(会社でいえば取締役会に近い)、業務の執行は「会長・副会長」(昔流の会社でいえば、社長・専務・常務などに近い)があります。

 と話はそれましたが、老齢、疾病で仕事ができなくなった弁護士は、会費免除申請をすれば、会費の免除を受けることにより「弁護士」の肩書きは死ぬまでもちつづけられます。
 高齢になって「肩書き」がないのもさみしいものですし、若いころに弁護士会に貢献してこられてきた方々ですから当然のことですね。

 弁護士会会長からの死亡通知に、100歳近い方の名前が記載されていることがあります。
 弁護士としての仕事を全くしなくなってから相当期間経過しているでしょう。

 女性が法曹界に進出してから相当期間が達していますが、当初数が少なかったこともあり、まだ、老齢により死亡される女性弁護士は多くありません。
 女性法曹の進出にはめざましいものがありますから、何十年か先に、110歳、120歳の女性弁護士死亡の通知が来る日が来るかも知れません。
 もちろん、私は、生きていません。

西野法律事務所
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