身近な法律問題
なぜ悪い人を弁護するの?
新聞やテレビで報道されている凶悪事件で、弁護士がついているのをみて「なぜ弁護士さんは悪い人の弁護をするのですか」という素朴な質問をされる方がおられます。
本当に犯罪をおかしたかどうかがわからない、犯罪をおかしていたとしても刑を軽くすべき理由があるかないかわからないということで、刑事訴訟法は、一定以上重い罪の場合(殺人や放火はもちろん詐欺や窃盗などを含みます)には弁護人がいなければ法廷が開けない、また、弁護人には弁護士資格がなければならないと定めてあるからです。
つまり、弁護士のうち、誰かが弁護人にならないと、裁判が進まないからということになります。
通常、新聞やテレビで報道されている凶悪事件の弁護人になると、一般事件の関係で、ほぼ必ずマイナスになります。
複数の顧問先から、顧問契約を打ち切られたという知り合いの弁護士さんもいます。
被告人を守らなければならないという使命感からなのか、誰かやらなければ仕方がないからという考えなのかはわかりませんが、「仕方がない」ということで引き受ける弁護士さんには同情を禁じ得ません。「貧乏くじ」は明らかだからです。
功成り名を遂げて経営基盤が盤石な弁護士さん、あるいは、特殊事件でもやってやるという殊勝な弁護士さん、どちらかに白羽の矢があたるようです。