身近な法律問題
弁護士の相談料・30分5500円は高いでしょうか
これを時給1万1000円と考えて「高い」といわれる方がおられます。マクドナルドのアルバイトの時給1000円と比べてしまうのでしょうか。
しかし、実は、30分5500円でも割に合わないのです。
「坂野真一先生のブログ」2006年3月6日のエントリーをご覧下さい。
大阪弁護士会所属の坂野真一先生は、国選弁護人の事件は、時給が3000円にしかならず、経営者弁護士には確実に赤字であるということを詳細かつ丁寧に書かれています。
1 事務所経費(家賃・リース代・光熱費・事務員さんの給与など)を、ひと月100万円だと仮定されておられます。
2 平成20年3月をみると、土・日・祝日を休日にして、一日8時間労働として、8×20=160時間と計算されています。
3 生活費を30万円とし、税金・健康保険料・年金等、弁護士会費、通勤定期の費用を20万円と計算されています。事務所経費とあわせて月150万円になります。
4 すると、150万円÷160時間=9375円は1時間に稼がなくてはならない計算になります。
すると、弁護士の時間あたりの売上は、1時間あたり9375円以上でなければ、生活していけない、つまり、貯金ができるどころか、逆に、借金のみが積上がる計算になります。
実際は、事務所経費が月100万円ではすまないでしょうし、税金(所得税・県民市民税・事業税。預かり税の消費税は除きます)・健康保険料(国民年金も払わなければなりません)は月10万円どころではなくて、現実にはその何倍でしょう。
逆に、労働時間は月160時間を上回ることは確実ですが、弁護士会活動など、全くお金にならない仕事に費やす時間(平均的に2割くらいの時間を「ただ働き」に費やしているでしょうか)を考えると、「もうけ仕事」にあてられる時間はこの程度のものでしょう。
マクドナルドのアルバイトなら、時給1000円で割があうのかも知れませんが、経営者弁護士は1時間1万円で仕事をしていたのでは、事務所を維持・経営し、自分が食べていくことはできません。
弁護士の相談料が、30分5000円というのは、安すぎることはあっても、高すぎることはありません。
30分5000円という法律相談料は、実際赤字なのです。
なぜ、赤字で法律相談をしているのかというと、1つには、法律相談の敷居を低くして専門家のアドバイスを受けやすくし、また、弁護士の収支の面では、法律相談から事件受任をし、着手金・報酬をもらえることを計算に入れているからです。
弁護士の場合、医師と違って医療保険がありませんから、一見すると高いように見えるだけです。
医師に風邪薬をもらう診察だけで1500円、3割負担として5000円が医師の診療報酬となり、弁護士とかわりありません。