身近な法律問題
不動産媒介契約
そして、媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
このうち、「専属専任媒介契約」は、実務上、利用されなくなった契約ですから、説明は省略します。
「一般媒介」とは、不動産の所有者が複数の不動産業者に対して入居者募集の依頼を行うことができ、また、不動産の所有者自身が、自分の知人など独自に入居者を見つけて不動産業者を介さずに契約することもできます。
メリット・デメリットは以下のとおりです。
一般媒介のメリット
○契約関係が緩いので、たくさんの業者に対して募集依頼ができる。
○業者間での競争原理が働く。
一般媒介のデメリット
○他の業者で決められるかもしれないので広告・宣伝活動を業者について非積極的。
○仲介業者の報告義務がないので、情報のフィードバックに不安がある。
○レインズへの登録義務が業者にない。
なお、レインズ(Real Estate Information Network System)の略で、不動産会社しか見られない、不動産物件情報交換のためのコンピュータネットワークシステムのことです。
「専任媒介」とは、不動産の所有者は、入居者の募集に関する業務を契約をする不動産業者「一社」に対してのみ依頼することになります。他社に委託することは許されません。ただし、不動産の所有者自身が独自に契約者を見つけることは可能です。
専任媒介のメリット
○窓口が一社だけなので、不動産業者が、業者より必ず定期的な報告がある。
○必ずレインズへ物件情報が登録される。
専任媒介のデメリット
○依頼した業者への依存度が高くなってしまう。
○他に、依頼した業者以外が、よい買主を知っていても「縁」がない。
ただ、インターネットの普及による売却システムの変化により、メリット・デメリットとされてきたことが、現状では当てはまらなくなってきました。
「一般媒介契約」の最大のメリットでもあった「複数の仲介業者に広く依頼できる」という点です。
インターネットが普及していない時代には、物件情報を不動産市場の隅々にまで浸透させるには非常に大きな手間と費用がかかりました。複数社と契約しておけば、情報が広く流れるということですね。
インターネットの普及による売却システムが構築され、売主から売却依頼を受けた仲介業者一社が物件情報をレインズに登録しさえすれば(一般媒介は任意。専任媒介は必須)、その物件の情報を必要とする不動産会社すべてに一瞬にして物件情報が届きます。
購入者は、どこの不動産会社でも、購入者が希望する条件に当てはまっていれば、パソコン画面でレインズのデータを検索することにより、購入者の手許に物件情報が簡単に届くシステムが出来あがっていることになります。
また、レインズの他にも、お客様自身で物件検索ができる様々な不動産ポータルサイトが普及し、売却の依頼を受けた仲介業者が物件情報をお客様に発信する手段は急増しました。しかもネット広告の場合、紙媒体の広告に比べコストは数分の1です。
このような状況下において、『複数の仲介業者に依頼できる』という「一般媒介契約」のメリットが少なくなってきています。
ただ「一般媒介契約」には『プライバシーを保護する』というメリットが生まれてきています。
「一般媒介契約」の場合、レインズへの物件登録は「任意」となります。つまり、物件登録をしないという選択もできます。
「先祖代々の土地」や「隣近所の人に売りに出していることを知られたくない」人は結構います。
レインズに物件登録をしないということは「情報ルートを制限する」ということになりますが、それを望む売主も結構いるものです。
それらの点を考慮して、媒介契約を考えられたらよいでしょう。