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身近な法律問題

賃貸住宅入居者のデータベース

家賃保証業者でつくる社団法人「全国賃貸保証業協会(LICC)」は、入居者の信用情報を一括管理するデータベース(DB)について、平成22年2月1日から加盟13社で運用を始め、1年後に約100万件の登録を見込んでいることを明らかにしました。

 家賃保証業界は「追出屋」問題で批判されました。
 もちろん 「追出屋」が許されるはずもありません。

 しかし、貸金業には「信用保証情報機関」の「ブラックリスト」がありますよね。
 誰も疑問をもちません。
 あまり知られていないかも知れませんが、お金を借りたり、クレジットカードをつくったりするとき、契約書に、「信用保証情報機関」の「ブラックリスト」にのせられるということについて同意するという定型文字が記載されています。
 「信用保証情報機関」の「ブラックリスト」にのせられるのが嫌なら、お金を借りたり、クレジットカードをつくったりしなければいい、破産、民事再生、任意整理、長期の滞納などがあれば「ブラックリスト」にのるものの「永久」ではなく、最低7年はお金を借りずに生活していけばいいというのが基本スタンスです。

 金融庁が、監督官庁になっていて、比較的ちゃんと監督していますから、「なくしてしまえ」という声は出ません。


 理屈からすると、賃借人のデータベースは不合理ではありません。
 私も原告訴訟代理人として、家賃の債務不履行を理由とした賃貸借契約の解除および明渡の訴訟を提起することがあります。
 また、判決をとって、強制執行するということもあります。
 弁護士に払う着手金・報酬は大した額にはなりません。
 しかし、強制執行をするとなると、莫大なお金がかかります。
 賃料額にもよりますが、弁護士費用と執行費用合わせ、賃料1年分から2年分はかかりますし、完了するまで家賃が入ってきません。
 貸金なら、損害額は貸金ですが、賃貸は、賃料に比べ、驚くほどの損害をこうむります。
 零細な個人だと大変です。
 また、連帯保証人も、ちゃんと連帯保証人の意思確認をしていないというのが多いですね。
 「2度と貸すものか」という賃貸人もいます。現実に、賃貸をやめる人もいます。もっとも、一棟全部空き家にしないと売ろうにも売れません。


 貸金でも、ブラックリストがなければ、すべて「危険性あり」で、経済状態に問題がなくても、利息は高いものとなります。
 適正な利息で借りられることに、ブラックリストが貢献しています。

 賃貸も同じですね。
 借りた部屋の家賃を滞納したことのある人と、何の問題もなく返済していた人との区別は必要です。
 ある意味、貸金業者と違って、貸家は零細個人が結構ありますから深刻です。

 問題は、賃借人のデータベースではなく、ちゃんとした監督官庁がないことにあります。
 監督官庁が「しっかり」して、適切に運営されるのなら、貸金と同じく、データベースは問題ないでしょう。
 滞納歴がないことがわかれば、職業や収入にかかわらず、借りやすくなるでしょう。

西野法律事務所
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