身近な法律問題
隠し録音のすすめ
といわけても「何のことかわからん」とお思いの方もおられるでしょうが、裁判の証拠は、原則として「裁判官を納得させることができれば、証拠は書面でなくても何でもいい」ということです。
逆に、「一定以上の金額の契約は書面によらなければ証拠とならない」とか、さらには「一定以上の金額の契約は公正証書によらなければ証拠とならない」という先進国もあるようです。
ということで、「書面をとってないから訴訟上不利だ」と思われる場合は、「隠し録音」をとっておけばいいということになります。
お金の貸借の有無、返済の有無、交通事故の状況・過失割合、不貞を認めたことなど、今となっては、相手から書面をもらうのは難しい場合は、「隠し録音」をとっておけば、かなり有利に訴訟が運ぶことになります。
裁判所は「自由心証主義」ですから、相手が不利な事実を認めた会話をしていれば、その方向で認定してもらえます。
なお、相手に「テープをとるよ」という必要はありません。「隠し録音」だから証拠として認められないとかはありません。
ただ、こちらが「話しっぱなし」で、相手が「相づちをうっている」ような会話では、録音しても証拠価値は低いです。できるだけ、相手に具体的に話させるよう会話を進めて下さい。
なお、面と向かっての話を録音するときには、「ICレコーダ」をワイシャツの胸ポケットにしのばせておくとか、タイピン型マイクを利用するとかいろいろあるようです。
電話の場合には、留守番電話が利用できる機械であれば、録音機能はついていますから問題はないでしょう。録音端子がない機種の場合、再生をして、それを「ICレコーダ」に録音してくるという猛者もいます。
携帯電話は、基本的に、20秒のみ、通話者片方の音声しか録音ができない機種が多いようで、携帯電話に「ICレコーダ」を密着させれば録音ができないことがないではありません。
なお、録音したら保管はちゃんとしましょう。
上書きしたりする前に、カセットテープにダビングしておけば十分です。
裁判所は、カセットテープ(通常のカセットテープ)は証拠として受取ってくれますが、重要な部分は、業者に頼んで反訳(テープおこし)して書面化することが必要です。
なお、テープでも良いというのは、あくまでも原則であり、書面が必要な場合もあります。
口約束の贈与は取消されますから、書面にしておきましょう。
また、録音テープで遺言をしても無効です。