身近な法律問題
続・むだな収入印紙は貼らないようにしましょう
「 大阪地方裁判所破産部は、管財人に対し、売買契約書は1通にすること、原本は、買主が印紙を貼付して、買主が持つものとし、売主である破産管財人は、売買契約書のコピーを持つことを指導(ほぼ強制)しています。
契約書が2通必要ということはありませんし、売買内容について争いになれば、コピーで十分裁判で通用します。
売却した方は、代金さえもらえれば、売買契約書の原本など必要ありません。
もっとも、後日、争いになったときが怖いですから、コピーをもっておくのです。
そうすれば、法的効果は全く同じで、売主の印紙税は「0」になります。
なお「これは原本の写しである」と書いてしまうと(認証文言)、印紙税が必要となります。この点はご注意下さい。」
と記載しています。
「国税庁のホームページ・契約書の写し、副本、謄本等の印紙税について」をご覧下さい。
「 契約書は、契約の当事者がそれぞれ相手方当事者などに対して成立した契約の内容を証明するために作られますから、各契約当事者が1通ずつ所持するのが一般的です。
この場合、契約当事者の一方が所持するものに正本又は原本と表示し、他方が所持するものに写し、副本、謄本などと表示することがあります。」
「 写し、副本、謄本などと表示された文書であっても、おおむね次のような形態のものは、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかですから、印紙税の課税対象になります。
(1) 契約当事者の双方又は文書の所持者以外の一方の署名又は押印があるもの
(2) 正本などと相違ないこと、又は写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるもの」
「 契約書の正本を複写機でコピーしただけのもので、上記のような署名若しくは押印又は証明のないものは、単なる写しにすぎませんから、課税対象とはなりません。」
単なるコピーに印紙は要りません。
また、単なるコピーも、いざ訴訟になると「証明力」は高いです。
理由の1つとしては、最高裁判所・昭和51年4月30日判決(刑集30巻3号453頁)に「文書は原本に限らず、コピーもまた偽造罪の対象となる文書性を有する」と判示されていることがあげられます。
理由のもう一つとしては、コピーの精度の向上があります。
確かに、「署名」や「印影」が「本物かどうか」争われれば、原本が好ましいのでしょうが、コピーの品質はあがってきていて、原本と、遜色のない程になっています。
「署名」は筆遣いなどはコピーでは再現が難しいですが、「印影」などは印鑑証明自体が、プリンターでプリントアウトされたものですから(昔は、印鑑を申請用紙に押して、印影を、登録した原本と照合していました)、コピーで十分でしょう。
いずれにせよ、重要な書類には実印を押すでしょうから、「印影」だけで十分といえます。
会社なら「署名」など最初からなく、ゴム印です。
無駄な印紙は貼らないようにしましょう。