身近な法律問題
六法
「六法全書」という言葉があります。
「六法」とは何を指すかご存じでしょうか。
「憲法」「民法」「商法」「民事訴訟法」「刑法」「刑事訴訟法」の、代表的な法令のことを指します。
「六法」という言葉は、日本のみに通用する独自の用語で、普遍性はありません。
「商法」から会社法が独立してから、商法は「抜け殻」に近い状態になっていますから(もっとも、重要な条項も残っています)、「商法」のかわりに「会社法」が「六法」に加わるかもしれません。
なお、日本の法律は、「六法」だけではありません。
総務省のホームページによれば、平成17年4月30日現在の、総務省行政管理局が、ホームページにて公開している憲法、法律・政令・勅令・府令・省令・規則は、憲法・法律が1823、政令・勅令が1911、府令・省令が3474、合計7208となっています。
本来は、もっと多いはずです。
ちなみに、有斐閣の『六法全書』に代表される「大型六法」の収録法令数は約1000、三省堂の『模範六法(判例付き)』に代表される中型六法の収録法令数は約400です。あと、『ポケット六法』『コンパクト六法』『デイリー六法』など小型六法の収録法令数は約200です。
いずれにせよ「6」ではなく、膨大な数です。
時おり、依頼者の方が、六法全書や模範六法を見て、「弁護士さんは、こんな本を全部暗記しているんですか」と聞かれることがありますが、もちろん「ノー」です。
裁判官も弁護士も、主要な法律について、よく使う一部の条文を記憶し、あとは、何条あたりに、どの条項があるか記憶している程度です。
検察官は、下手をすると民事系の条文は忘れてしまっているのかもしれません。民法の嫡出推定の規定を無視して、起訴した検察官がいましたから。
なお、裁判の実務上は、「法令」の規定だけではなく「判例」が重要となります。
通常、司法試験に合格する段階で、重要な判例は記憶しています。
その昔は、判例検索を本でしていたのですが、次第に、CD-ROM、DVD-ROMになり、今は、インターネットで検索(当然、有料です)するのが主流となっています。
なお、めったに扱わない法令も、CD-ROM、DVD-ROMなどで検索することが多くなっています。
もっとも、最終的には、裁判所に提出する段階で、「電子データ」から「紙」になります。