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2012年バックナンバー

夏季限定の原子力発電の稼働

私は、「続・関西電力の火力発電」というコラムで、以下のとおり書きました。

「 原子力発電は、夏のピークの2か月程度のみ稼働させることは難しくありませんし、危険でもありません。
 大地震が起こる確率は、年間通じて同じと考えていいでしょうから、原子力発電事故の確率は6分の1になります。
 しかし、関西電力は、そんな条件で、原子力発電所を再稼働する気は全くありません。」

 橋下大阪市長は、平成24年5月19日、関西広域連合の会合で、関西電力大飯原子力発電所3、4号機を、夏の電力需要のピーク時に限定して再稼働させる案を提案しました。
 関西広域連合に参加している大阪府の松井知事も同意見です。
 橋下市長の提案について、関西広域連合に参加している京都府の山田知事も賛成する意向を示しました。
 他方、関西広域連合に参加している和歌山県の仁坂吉事は「安全確保を前提とした上で『セカンドベスト』の対応として悪くはない」との認識を示しました。「このまま原発が稼働しなければ本当に15%の節電が必要になるだろう。そうなればこの夏は企業の生産活動も抑えなければならない」としました。和歌山県は大飯原子力発電所に事故が起きたとき近畿では最も影響を受けない県です。
 他の関西広域連合に参加している兵庫県知事は態度保留、滋賀県知事はコメントを出していません。
 奈良県は、最初から、関西広域連合に参加していません。

 福井県の西川知事は、平成24年5月20日の記者会見で「分からない。どういう意味でしょうか」と述べ、橋下市長の真意を図りかねた様子だったそうです。
 同知事は、原子力発電の使用済み燃料について、「今後、福井県だけでは対応するわけにはいかない」と、それこそ、意味不明の発言をしています。
 同知事は、京都大学法学部を卒業した自治官僚出身ですが、他府県の知事に比べて、少々「血のめぐり」がわるいのかもしれません。
 というのは冗談で、福井県は、本音は原子力発電再稼働してもらわなければ県の財政がもたない、一方、再稼働にあたっては、最大限の利益を追求するという微妙な立場ですから、賛成・反対は答える立場にありません。
 なお、弁護士も、わざと「理解できないふり」をすることがありますし、高齢になれば「聞こえないふり」をすることもあります。

 関西電力の八木社長は「安全性が確認されたプラントは安定的に稼働させていただく」と否定的な見解を示しました。
 問題は「安全性」が「確認された」かどうかですね。
 どんな地震がきても大丈夫なら、関西電力の八木社長の意見は誤っていません。
 そうでないから問題であり、論点をわざとぼかしています。
 夏季限定の再稼働ということになると、原子力発電の資産価値が下がり、債務超過にもなりかねません。

 枝野経済産業相は、平成24年5月19日、大阪市の橋下徹市長が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を夏の電力需要のピーク時に限る「期間限定稼働」に言及したことに対し、「政府としての提起は、とてもできない」と否定的な考えを示し、理由として「安全でないかもしれないが、電力が足りないときだけ動かす、というふうに受け止められかねないやり方」であることをあげました。

 問題は「安全性」ですね。
 おそらく、現時点において「安全性」は不明でしょう。

 人為的ミスを前提として、原子力発電の安全性を問題にしている人はわずかでしょう。
 問題は、想定外の大地震ですね。
 大地震が起こる確率は、年間通じて同じと考えていいでしょうから、2か月限定の再稼働なら、原子力発電事故の確率は6分の1になります。

 橋下大阪市長の意見や施策には「?」がつくことが多いのですが、2か月限定の再稼働は、いいアイデアと思います。

 ただ、結局、再稼働になりますね。
 関西の首長は「恫喝」「地元経済界」に弱いのかも・・
 憎まれっ子=関西電力、世にはばかる・・

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