旅・交通 バックナンバー2/2
マイレージの横領?
「役得」という言葉がマスコミにのります。
昔なら、深夜帰宅の際にタクシー運転手から金品などを受け取るなどは、高級官僚のサービス残業の異常な長さ(予算編成時、国会開催時の待機のための拘束など)に比べれば、「役得」くらいで済んだかも知れません。
もちろん、現在、公務員を見る世間の目が厳しくなっています。
そういえば、国家公務員が出張で取得した航空会社のサービス利用ポイント(マイレージ)を、 家族旅行などの私的な目的に使うケースがあるため、政府は公務で得たマイレージを一括管理する検討を始めたというニュースがありました。
世界で初めてマイレージサービス提供をしたのはアメリカン航空で、1981年からサービスをはじめたそうです。
私が裁判官をしていて、留学していたころに、少なくともルフトハンザにはマイレージサービスはありませんでした。
支給された航空券は、ビジネスクラスでしたから、マイレージサービスがあれば、相当「使い出」があったと思います。当時、ロシア上空を飛べるはずもなく北極回りでしたが、一応、当時の最短距離になりますが・・
今日び、日本を出て、ハンブルクなどには到着する便はないでしょうね。当時は、北極から来るわけですから、ハンブルクが「最寄り」、そこから乗継げばいいだけの話です。
なお、留学する公務員の中には、ビジネスクラスの料金を受取り、エコノミー格安航空券を購入して、その差額を「小遣い」にしようとした人がいるそうです。
なぜ、そういう「仕組み」が私にわかったというと、留学するものにとっては、当然、早く航空券がほしいはずですが、出発前日か前々日に、最高裁判所に留学の挨拶をしにいったとき、初めて航空券が支給されたからです。
これは、そういった不祥事を未然に防ぐ制度だったそうです。
私は、過去にそのような例があったと「にらんで」います。前途有望な人として、もみ消したのでしょうが・・
ただ、さすがに、裁判官はしないでしょう。他官庁の人に比べて報酬は約倍(上級職公務員の基本給は、びっくりするほど安いです)ですし、遵法意識も強いでしょう。
もちろん、受給される航空券はノーマルの航空券ですから、払戻しは自由で手数料もかかりません。
別途、格安航空券を購入しておいて、受給された航空券の払戻しをされると「手の打ちよう」がありませんが・・
もっとも、大使館員ではありませんから、妻子の航空券代が支給されるはずもなく、妻や子の航空券が支給されなため、家族同伴のお金をつくらなければならない「やむにやまれぬ」事情がある人だということでしょう。
おそらく、アメリカ留学の方でしょう。1ドル270円くらいでした。ドイツは2マルク=1ユーロ=150円で、1マルク75円くらいでした。1日9600円の無税の海外出張手当も出ていました。それでも、アメリカ留学組は苦しかったそうです。年間700万円は、物価の安いドイツで単身の私に使いきれる金額でもなく、今でも、当時のお金は「根雪」のように残っています。
中央官庁では、出張で取得したマイレージの使途を個人の判断に任せているケースが多いでしょうね。
「たまったマイレージで家族旅行に行く人もいる」 「出張でためたマイレージを食事券に使ったことがある」という職員もいるでしょう。
こうしたマイレージの使い方について、専門家からは「厳密に言えば、たまったマイルを私的に使えば税金の横領に当たる」と指摘する人もいます。民間も同じです。
政府は閣議で、国家公務員が海外への公務出張で取得したマイレージについては、 「取得と使用の自粛を職員に徹底している」とする政府答弁書を決定したそうです。
国内はいいということなんでしょうね。しれてます。
航空会社「丸もうけ」でしょう。
なお、ドイツでは、官僚が公務で理由する航空会社は、国内は100%、安全性・定時性を考えれば、基本的にルフトハンザしかなく、たまり放題ですね。
政治家が、公務のマイルをバカンスに使ったとして政治責任をとって辞職したことがありました。
なお、マイレージサービスは、お金を出した人ではなく、搭乗した人に与えられるサービスというのは、発祥のころから現在まで、徹底しています。
マイレージは個人客の囲い込みが一番の目的であり、組織全体で複数社のマイレージの利用を認めると、特定の航空会社を選ぶ動機づけが弱まりすから、航空会社は反対でしょう。
弁護士はどうでしょう。
私は、しょせん国内ですから知れてます。頻度の高い東京は当然新幹線ですし・・
ただ、依頼者に実費請求した航空機での出張のマイルも黙って使っています。少しは「足し」にくらいはなってるかも知れません。1回往復何百円相当でしょうが・・
それにしても、「役得」は「ほっとけない」。世知辛い世の中になったものです。