離婚
給与所得者が婚姻費用を支払わない場合の強制執行
平成28年の就業者数は約6433万人、うち給与所得者は約5728万人、自営業者は約674万人だそうです。
給与所得者が89%ということになります。
給与所得者といっても、正社員か、非正規雇用者かで大きく違います。
相手が正社員なら、給与を差押さえれば、まず、とりはぐれはありません。
正社員が、婚姻費用ぐらいのことで、現在の職場を退職するということは考えにくいです。また、ある程度の規模の会社の正社員や正規の公務員なら、給与を差押さえられたということで解雇されるという恐れもありません。正規の会社の正社員も、法律的に解雇されることはありえないのですが、人間関係で、退職しなければならない場合もあります。
非正規雇用者の給与は不安ですね。
まず、本人が、給与を差押さえられるのが嫌で、退職して他で働くようになるかも知れません。そうでなくても、期間満了で、雇止めされることもありえます。
普通の給与の差押さえは、給与手取り(税社会保険料等を控除したもの)の4分の1までですが、婚姻費用や養育費の差押さえは、給与手取り(税社会保険料等を控除したもの)の2分の1までとなっています。
ボーナス分も差押さえられます。
給与の差押えは、継続的収入、つまり、給料、賃金、俸給などの継続的請求権は、将来の分も差押さえられますから、1度手続きするだけで十分です(民事執行法151条)。
取立ての問題ですが、通常は、差押さえ後に、勤務会社に取立てをしたいと書留で郵便を送付します。
通常、総務課から電話があって、委任状のコピーや振込先の口座を知らせるようにとの連絡があります。印鑑証明書つきの実印を押した委任状の原本を送付するようにとの要望がある場合もあります。
慣れたものです。結構、中小企業でも対応してくれます。
婚姻費用とか養育費ではなく、銀行、サラ金、クレジット会社の差押さえというのは結構あるようです。
注意しておかなければならないのは、サラ金等による一般の差押さえは、手取りの4分の1に制限されているのに対し、いのは「婚姻費用や養育費の差押さえは、給与手取り(税社会保険料等を控除したもの)の2分の1まで」と警告しておくことです。
差押命令に、「2分の1」と明記されているのに、「4分の1」だけ送金してくる事例は、結構あります。
あとで、清算問題でややこしくなります。現実には、泣寝入りとなります。
あとで、清算問題でややこしくなります。現実には、泣寝入りとなります。
私は、給与差押さえは20件、30件やっていますが、取立訴訟をさせられたのは1件のみです。
差押さえてしまえば、楽なものです。
なお、当事務所は、調停や審判に関与しないものでも、差押さえと取立ては受任します。
5万円から10万円+消費税です。