離婚
本当に年金分割して離婚した方が得ですか?
確かに、そういう一面はあるのですが、そう簡単にはいきません。
年金を分割してしまうと、夫・妻とも貧乏になってしまいます。
平成23年の調査によるモデルケースですが、厚生年金平均支給額は、民間の平均的サラリーマンの年金は、夫婦で月23万円です。
夫が平均収入の会社員で40年間加入、妻は専業主婦(年金保険料を納めないパートなど含む)という前提です。
サラリーマンの場合、公的年金制度の概要は下記のようになっています。
加入者数(万人) 平均年金 月額(万円)
厚生年金 3214 17.4
国家公務員共済 110 22.8
公務員が民間より恵まれています。
なお、以上の夫の年金に妻の国民年金を(老齢基礎年金・約6万円)プラスすれば、
民間の平均的サラリーマンは月23万円、公務員は月29万円です。
老後の生活費として最低限夫婦で必要と考えられているのが、月23.5万円といわれています。
ゆとりある老後を実現するには、月37.3万円以上(年2回夫婦で旅行等)必要といわれています。
まとまった蓄えがなければ、ゆとりある老後は送れません。
また、年金は、マクロスライドで、年々減額されます。
妻が夫と離婚した場合、分割の対象となるのは、厚生年金と国家公務員共済年金ですが、夫の老齢基礎年金・約6万円は、夫のものですから、民間サラリーマンの場合、分割対象は11万4000円、半分は5万7000円となり、夫婦それぞれが、11万7000円となります。
夫婦だから、23万円程度で生活ができるのですが、離婚して分割すると、世帯が二つになって、年金支給額が変わりませんから、みじめな金額になってしまいます。
なお、モデルケースは年収500万円ないし600万円程度で計算されています。
標準報酬月額も知れています。
高給取りのサラリーマンなら、標準報酬月額の上限は62万円ですから、かなり年金も増えます。
普通の暮らしをしてきた妻にとって、年金分割をあてにして離婚という選択肢はなさそうです。
退職金も分割されますが、住宅ローンにほぼ消え、自宅も高くないという場合は、それもあてにできません。
高額所得者の妻である場合など、夫婦で築いた財産が大きい場合など、財産分与をあてにできなければ、離婚しない方がましとなるかもしれません。