離婚
離婚を考えているなら、一刻も早く別居すべきです
離婚訴訟では「配偶者に不貞な行為があったとき」や「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」のうち
家庭内暴力(DV)はよく争われます。
ただ、一番多いのは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」のうち、「性格の不一致」による「婚姻破綻」です。
離婚の法制については「有責主義」と「破綻主義」があります。
「有責主義」とは、おおざっぱに言えば、配偶者のどちらか一方に責任がある場合のみ、相手方配偶者からの請求により離婚が可能という制度であり、「破綻主義」とは、おおざっぱに言えば、婚姻関係が破綻し、別居が長く続けば、夫婦関係が元に戻るということは考えにくいので、婚姻関係が破綻しているとして、離婚を認める制度です。
ただし、「破綻主義」をとったとしても、「有責配偶者」からの離婚請求は認めない、つまり、破綻の原因をつくった当事者からの離婚請求を認めない(例えば、不貞をしたため婚姻関係が破綻した場合、不貞をしていない当事者から不貞をした当事者に対する離婚請求は認めるが、不貞をした当事者から不貞をしていない当事者に対する離婚請求は認めない)という制度が一般です。
日本の場合は「破綻主義」をとっています。
ですから、一方当事者に全く悪い点がなくても、他方当事者が離婚したいと考え、一定期間以上別居していれば、夫婦関係が元に戻るということは考えにくいので、婚姻関係が破綻しているとして、離婚を認められます。
よって、一方当事者が離婚を望めば、他方当事者に何の落ち度がなくても、一定期間、別居の実績をつめば、相手方が「有責配偶者」でさえなければ、離婚は認められることになります。
不合理であると考えられる方も多いかと思いますが、日本の法律や判例がそうなっているのですから仕方がありません。
破綻しているかどうかは、別居期間で決めます。
同居をしていて「破綻」と主張するのは難しいです。
どのくらい別居すれば、婚姻破綻といえるのでしょうか
私は、昭和55年から平成2年まで裁判官をしていました。
当時、離婚裁判は、家庭裁判所ではなく、地方裁判所で審理されていました。
私が離婚裁判を担当していたとき、相場としては、5年の別居で離婚を認めるというのが多数派であったと思います。
妻の方が離婚を求める場合、婚姻費用が養育費となり減額されることを甘んじて受け入れるということですから短いめの期間で離婚を認め、夫の方が離婚を求める場合、別居期間は、長めにするという判断をしていました。
最近の大阪家庭裁判所の取扱いをみていますと、3年別居していれば離婚を認めるという傾向にあるように思います。
別居前から、仲が悪く、実質的に家庭内別居という例もあります。
経済的な理由もあるのでしょうが、離婚したいのなら、さっさと別居するのが賢明です。
調停にも時間がかかりますし、離婚訴訟も時間がかかり、3年くらいはあっという間に経過します。