離婚
有責配偶者
離婚の調停や訴訟をしていると「有責配偶者」という言葉をよく聞きます。
有責配偶者とは、自ら離婚原因を作って婚姻関係を破綻させた当事者のことです。
例えば、自ら不貞行為をして婚姻関係を破綻させた当事者、暴力をふるって婚姻関係を破綻させた当事者などです。
有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。
しかし、婚姻関係が破綻し、長期間の別居が続いているなどの事情があれば、裁判での離婚を求めることができるようになりました。
具体的には、昭和62年9月2日に最高裁判所判決が出る前は、有責配偶者は、絶対に離婚できないとされていました。
ちなみに、私が大学で法律を学んだのは、昭和50年(大学2年)から昭和53年(大学4年)でした。当時は、有責配偶者から離婚はできない、離婚しようと思うなら、相手の言うなりの慰謝料を支払わなければ離婚できないと学びました。
昭和62年9月2日の最高裁判所判決は、婚姻関係が破綻し、長期間の別居が続いているなどの事情があれば、別居が相当長期間におよんでいること、未成熟の子供がなく、相手方が離婚されても精神的・社会的・経済的にも困る状態にないことなどを条件として、有責配偶者からの離婚を認めました。
妻の地位でいることが、自分や子供の生活のための安定収入になるということですから、通常、離婚には応じませんね。
未成熟子がいない場合、7年~8年が目安です。
7年~8年経過しても、未成年の子がいれば、すべての子が成人するか、すべての子が働き出すまでは、裁判で離婚を求めることは難しいということになります。
未成熟子は未成年の子、つまり、20歳未満の子のことをいいます。なお、法改正により成人年齢は18歳になりましたが、この場合の未成熟子は20歳未満です。
なお、当然ですが、一番下の子を判断基準とします。
妻の立場からすれば、夫に大した収入がない場合は、ある程度まとまった慰謝料をもらって、さっさと離婚してしまえばよいことになります。
しかし、夫が高額収入者、あるいは、公務員や大企業勤務で安定した収入がある場合はどうでしょう。
婚姻費用は、離婚しない限り毎月受け取れます。離婚すれば、未成年者の子がいる場合、子の養育費だけになって金額が少なくなってしまいます。
毎月20万円から30万円の婚姻費用をもらっている妻は珍しくありません。婚姻費用には税金や社会保険料がかかりませんから、丸々手取りとなります。
おまけに、母子手当や税金など様々な優遇措置があります。