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離婚

本来死亡しているはずの高齢者の戸籍と住民票

 本来死亡しているはずの高齢者の戸籍と住民票が問題となっています。
 戸籍と住民票では重要性が違います。

 まず、戸籍について説明します。
 亡くなられた方の戸籍が残っていても残っていなくても、金銭の問題は生じません。

 平成22年9月10日、法務省民事局は、各法務局、地方法務局に対し、戸籍の附票に住所の記載がない120歳以上の高齢者を戸籍上「死亡」とできるよう通知しました。
 「高齢者消除」と呼ばれ、対象者の戸籍には一律で「高齢者につき死亡と認定」と記されます。
 現実には、戸籍の附票に住所の記載がない120歳以上の高齢者の戸籍は順次抹消されていくことになります。
 住民票が移転すれば、戸籍の附票に反映されます。戸籍の附票に住所の記載がないということは、実質的に考えて、死亡されている確率が高いわけです。

 ただ、所在不明高齢者名義の財産があり、相続手続きを行うためには、親族らからの死亡届や失踪宣告が必要となることについては、従前と変わりはありません。

 「120歳以上の高齢者に財産がある」ということが考えられるのかと思われる方がおられるかも知れませんが、入会地(村や部落などの村落共同体で所有していた土地山林)などでは、当時の各住民の共有として登記されていることが「まれ」にあります。

 田舎にある共有の山林などは、所有名義に興味を示す人がなく、何らかの理由で、所有名義を移転する必要が生じた場合、「生きていれば」「120歳以上の高齢者」が共有名義人になっていることもありえます。

 次に住民票です。
 亡くなられた方の戸籍が残っていても残っていなくても、金銭の問題は生じません。
 住民票は利害に直結します。

 税金については、住民税は、所得割と均等割に分かれているため、課税標準額が0円以下でも、均等割は課税されます。ただし、合計所得金額が住民税の非課税基準に該当する場合は、非課税となります。地方公共団体にもよりますが、所得が0なら住民税の均等割も0です。

 問題は年金ですね。

 遺族が、死亡届を出さずにいれば、死亡していないとして年金が振込み続けられます。
 住基ネットがなかった昔は、年1回「現況届け」(住民票添付)を出さなければ、年金がストップしていたのですが、現在は、住基ネットを確認し、死亡していなければ、年金が振込み続けられます。
 例外は「住基ネットに参加していない自治体住民」「外国籍」「海外在住者」で、住基ネットで確認できませんから、年1回、現況届を提出してもらい、受給資格の有無を確認します。

 「死亡届を出さない」「罰当たり」者がいるということは、予定していませんでした。
 死亡届を出さなければ、住民票は抹消されません。
 住民票が抹消されなければ、年金は支払い続けられます。
 基本的に「犯罪行為はしない」ということを前提としたシステムです。
 「死亡届を出さない」だけなら、詐欺罪で逮捕されたり起訴されはしません。
 年金を勝手に引き出すことが問題で、「死亡届を出さず」「年金を騙取った」ということで詐欺罪に該当します。

 返還は当然です。もっともお金があるかどうかわかりませんが・・。もちろん、破産しても免責にはなりません。
 また、悪質なら、逮捕・起訴ですね。

 厚生労働省が平成22年8月27日、年金記録上の住所地が住民基本台帳ネットワーク情報と異なる85歳以上の770人をサンプル調査した結果、23人が不正に年金を受け取っている可能性があると公表しました。
 年金記録上の住所地が住民基本台帳ネットワーク情報と異なる85歳以上の人は、2万7000人いると見られ、推計で800人程度が不正受給している可能性があるようです。

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