金融・経済 バックナンバー
廃棄ロスと機会ロス
スーパーやコンビニ業界でよく用いられますが、それらの業界に限りません。
「廃棄ロス」はわかりやすいですね。
商品の賞味・消費期限切れによる廃棄による損害、安値による見切り販売による損害、万引きなどによる損害などのことです。
スーパーやコンビニの経営者にとっては、特に弁当や惣菜などの「廃棄ロス」が深刻な問題となっています。
売れ筋商品の把握や在庫管理を徹底することによって、ある程度「防止」できるとされています。
ただ、弁当や惣菜などは、天気などにも左右されますし、そう簡単なことではありません。
もちろん、弁当や惣菜を、期限以内に売切れるだけの「量」のみ仕入れておけば、「廃棄ロス」は少なくなるでしょうが、「機会ロス」が増えるでしょうし、極端な話、「品切れ」ばかりの店には誰も買いにいかないようになります。
「機会ロス」は、商品が品切れしていたために売り損なった場合などのことをいいます。
ある商品を買いに着たお客さんが、目的の品物が売切れるなどして販売されていないため、他の店に行ってしまって、売り損なうことよる損害です。
やはり、売れ筋商品の把握や在庫管理を徹底することによって、ある程度「防止」できるとされています。「機会ロス」を防止するためには、高度なマーケティング力が不可欠となります。
「廃棄ロス」は、経営者にとってわかりやすいですが、「機会ロス」は、経営者にも把握はできません。
いつのまにか客足が遠のき、いつのまにか経営不振になっているというパターンでしょうか。
弁護士には「廃棄ロス」は考えにくいです。
金銭請求訴訟で、相手会社に引延ばされているうち、相手会社が倒産してしまったということくらいでしょうか。
仮差押えくらいでは対処できません。
弁護士にあるのは「機会ロス」でしょう。
弁護士に「原材料費」はありません。
事件が増えても、弁護士数、事務員数が不変でしたら、「経費」に大した影響はしません。
それなら「どんな安い事件でも受任した方が得だ」「経費は同じで、売上は微々たるものではあるが伸びる」と考えていては、弁護士失格ですね。
弁護士の事務処理能力には限りがあります。
「単価」の「安い」事件ばかり受任していて、事務処理能力が一杯になっていれば、「単価」の「高い」事件がきたときに受任できなくなります。
無理に受任すると、自分が体をこわしたり、他の事件ともども「手抜き」になって、成功報酬をとりはぐれたりします。
ですから、少額事件や、経済的利益の割には複雑な事件は、弁護士から敬遠されます。
弁護士は「1時間当たりの見込み報酬はいくらくらい」という考えをします。
「はやっている」弁護士ほど、受任を断られることが多くなるのは、弁護士の1時間当たりの単価が高くなるからです。
ある程度弁護士をやっていれば、受任する前に、勝ち目、おおよその時間などがわかるようになります。
「100%」「割に合わない」事件の依頼というのは、結構多いものです。
ただ、弁護士増員のため、少額のため断られるということが少なくなっているそうです。
弁護士が多くなりましたが、事件が増えていません。
まだ、私たちのような中堅(54歳ですから中堅でしょう)、あるいは、年がいきすぎていないベテランの事件の減少がなかったり、少なかったりするため、若い弁護士さんの事件が極端に減っているそうです。
「若い」ということをいとわなければ、少額でも受任してくれやすくなっているようです。