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金融・経済 バックナンバー

デフレはなぜ悪いか

政府は、平成21年11月20日、11月の月例経済報告で「物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある」との見解を表明し、物価が持続的に下落するデフレに逆戻りしたことを公式に宣言しました。

 デフレは、そんなに悪いことなのでしょうか。
 物やサービスの価格が下がっていきます。
 お金の値打ちが上がります。

 デフレで恩恵を受ける人は結構います。
 決まった金額を毎月貰える年金生活者、既に資産を持っている高年齢者には、とても有利です。

 デフレになれば、価格が下がりますね。
 価格が下がるのはいいのですが、物やサービスの価格が下がるということは、メーカーや卸売・小売店、および、サービス従事者の従業員の給与を下げたり、非正規雇用を増やしたりすることを意味します。
 大企業も、国内外を問わず、激しい競争にさらされているわけですから、余裕はありません。

 従業員の給与が下がったり、非正規雇用を増えたりすると、購買力がなくなります。
 つまり、値段が下がった物やサービスばかり購入しようとすることになるでしょう。

 人々がデフレ期待を持つと、人々の消費活動にマイナスになります。
 ある物やサービスを買おうとしていたときに、今日より明日、今年より来年の方が安くなると思えば、買うのを「待とう」と思ってしまいます。待っていればもっと安く買えるから。
 ということは、余計、物やサービスが売れなくなります。

 ということで、悪循環ですね。

 また、デフレは、借金している企業や、住宅ローンをかかえているサラリーマンにはきびしいです。
 デフレになったからと言って借金は減りません。
 というか、物価自体が下がっているわけですから、実質的に借金は増額となります。

 住宅ローンの大変さはぜんぜん変わりません。買ったマンションの値段はどんどん下がって担保価値がなくなるばかりか、給料も下がっていきます。

 ついで、政府は、国債という莫大な借金があるので、デフレになると、借金の額はかわらなくても(実際は急激に伸びていっています)、実質的負担はおおきくなります。
 企業や労働者が儲からないと、税収が増えません。


 デフレとは、お金の価値が物やサービスに対して相対的に上がることですから、お金を借りている人から貯金している人への所得移転が起こります。
 つまり、貧乏な人はより貧乏に、お金持ちはよりお金持ちにと、格差を拡大させてしまいます。


 なお、デフレ下にあると、銀行に金利ゼロでお金を預けたり、極端な場合、タンス預金をしている人の一人勝ちです。
 実際に、過去3年ぐらいで見ると、日本国債、外国債券、日本株、外国株でいちばん儲かった資産は日本国債という統計もあるくらいです。
 日本はデフレ下にありますから、日本円と言う通貨の価値が、他の国と対比すると上がっています。


 デフレ下では、タンス預金をするだけで、何もせず儲かります。
 投資をするのが「ばか」みたいですね。

 さあ、何かいい方法はあるでしょうか。
 日本だけ考えていると無理ですね。
 どこかに「とてつもない景気のいい国」があらわれてくれないと・・
 それも、現実的ではありません。

 ということで、個々の人の戦術としては、節約してお金を貯め込むことです。
 借金は厳禁です。
 「合成の誤謬」で社会全体は悪化しますが、一番大切なのは、自分とその
家族です。
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