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金融・経済 バックナンバー

GDPとGNP

「GDP」と「GNP」の違いをご存じでしょうか。

 前者は「Gross Domestic Product」の略で「国内総生産」で、後者が「Gross National Product」の略で「国民総生産」です。

 「GDP」は、ある期間(通常1年)に、国内で生産された財・サービスの合計を表します。

 「GNP」は、ある期間(通常1年)に国民(外国国籍を有する人々の生産活動であっても日本に6ヶ月以上滞在している居住者であれば、日本の国民総生産に計上され、逆に、日本国籍を有していても国外に2年以上滞在している海外居住者が行う生産活動は、国民総生産には反映されません)が生産した財・サービスの合計を表します。
なお、「GDP」は、日本国籍者(日本居住外国人)が海外で財・サービスを発生させた場合にも集計されますが、非日本国籍者(外国在住の日本人)が国内で財・サービスを発生させた場合には控除されます。

 違いは、日本国籍者(日本居住外国人)が海外で財・サービスを発生させた場合、非日本国籍者(外国在住の日本人)が国内で財・サービスを発生させた場合には控除されますということです。

 これらの違いは、生産された物・サービスを、国内概念で捕らえるか(GDP)、国民概念で捕らえるか(GNP)、の違いです。

 日本人は、多少の例外を除くと、出稼ぎ労働者として外国に行っているわけでもありませんし、また、出稼ぎ労働者として外国人を受入れているわけではありません。

 GNPとGDPは、日本の場合はほとんど同額で、若干GNPのほうが多くなっています。
 これは「外国での国民の生産」が外国で運用されている日本資本の受け取る金利・配当も含むからです。

 日本は、対外債権国であるため海外へ支払う金利・配当よりも海外から受け取る金利・配当のほうが多くなっているため、日本ではGNPのほうが多くなります。
 逆に、中南米諸国などの対外重債務国は、外国へ支払う金利が多いため、GNPよりもGDPが多くなっています。

 国の経済の規模・成長を測る物差しとして、昭和60年ころ頃まで、国民総生産(GNP)がよく用いられていましたが、その後は、国内のみの生産を計る国内総生産(GDP)を使用することが多くなっています。

 GDPとGNPは、しばらく並んでもちいられていましたが、GDPとGNPの格差が非常に多大になったため、ついにGNPが経済指標として、平成5年、政府の統計から姿を消す事になりました。
 差は、年間5兆円にものぼっているそうです。

 ちなみに、進出した日本企業による、北米の自動車、アジアの電化製品や雑貨など現地生産は、GDP、GNPどちらでも、日本ではなく、海外に含まれることになります。
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