金融・経済 バックナンバー
歩積・両建預金と金融商品
「歩積両建預金」という言葉をご存じでしょうか。
銀行など金融機関から融資を受ける時に、融資額の一部を預金として銀行に預けることで、この預金のことを歩積両建預金と言っています。
金融機関から融資の条件として要求され、預金をおろすことは禁止され(そんなことをすると、短期分の融資について、次に融資してくれません。その程度ですめば、まだ「まし」です)預金は実質上拘束されている場合がほとんどです。
歩積両建の場合は、表面金利が3%の場合でも、融資額の例えば3割を預金させられただけでも、0.35%で預金させるのであれば、実質金利は、ぐんと跳ね上がります。利息にかかる税金も考えれば、もっと悪いですね。
独占禁止法の禁じる「優越的地位の乱用」と解され、一部業務停止と業務改善命令などがなされます。さすがに、全部業務停止命令などまではできないようです。
さすがに都市・地方銀行などではあまり見かけなくなりましたが、会社自体の預金を拘束するのは、信用金庫、農協などでは、今でも見受けることがあります。
代表取締役や取締役名義の預金を拘束するのは、都市銀行、地方銀行、信用金庫、農協などで今でも見られます。
代表者や役員の預金は、破産や民事再生申立費用の「あて」にできないということになります。
なお、新手の「優越的地位の乱用」もあります。
三井住友が、押付け商法で一部業務停止と改善命令を受けています。
具体的には、金融庁が、融資先の中小企業に「金利スワップ」の購入を押し付け、独占禁止法の禁じる「優越的地位の乱用」をしていたとして、三井住友銀行に対しデリバティブの販売を半年間停止、法人営業部の新設を1年間停止する一部業務停止と業務改善命令を出したという記事があります。
「株式会社 三井住友銀行に対する行政処分について」
現実の為替に関する取引額の2倍や3倍の予約をさせますから、一種の「博打」です。
私が、3年ほど前、債務整理に関与した小企業だけでも2社ありました。
最近は、もっと巧妙になっているのでしょうか。