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金融・経済 バックナンバー

サンクコスト

サンクコスト(sunk cost。埋没費用)という言葉をご存じでしょうか。

 事業に投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用をいいます。
 どないもこないも、回収できないお金です。

 単純化しますと、たとえば、ある小説本の値段が2000円であるとすします。しかし小説が余りにもつまらない時、2000円払った小説を読むべきか、それとも、途中で本を読むのをやめるかが問題となります。

 1 小説を読むのを止めた場合
   本題2000円は失ないますが、最後まで読続ける時間を有効に使うことができます。
 2 小説を読み続けた場合
   本代2000円に加え、残りの本を読む時間を失ないます。

  この場合、本代2000円がサンクコスト(埋没費用)となります。このサンクコストは、どの選択肢を選んだとしても回収できないコストです。
 そこで時間を浪費してまで、つまらないと感じる小説を見続けることは合理的な選択とはいえません。 読むのはやめにして、時間を有効に使うことが合理的な選択となります。

 事業を考えましょう。
 例えばある会社が、あるプロジェクトに多大な資金を投入したものの、あまりうまくいかず、また、ライバル会社が、もっと良質・低価格の類似商品を開発したとします。
 そしてこのプロジェクトを継続するかどうか判断しなくてはならない時がきました。
 このままこの事業を継続しても損失を拡大させる可能性は、ほぼ100%です。
 しかし、「これまでに莫大な資金をつぎ込んできたんだ。ここでこのプロジェクトをやめてしまったら今までの投資資金が無駄になる」との考えからさらにそのプロジェクトを継続するとします。
 しかし、結局は、さらに損失は拡大して、継続しない、従前の成果は廃棄すると判断したときよりも大きな損失を出してしまうことになります。

 栗東市の新幹線新駅建設推進派の発言は、この事例に当てはまります。
 つまり、このまま、採算が合うはずのない新幹線新駅を建設しても損失がでてしまう可能性が高いのがわかっているにもかかわらず、いままで多大なお金をつぎ込んだのが無駄になってしまうのが「もったいない」と思いこむのです。その結果、結局は損失を拡大させることが確実です。

 その意味で、滋賀県民は賢明です。さすが近江商人。もっとも、なぜ、最初から「もったいない」といわなかったのかは疑問といえば疑問です。

 英仏共同開発の超音速旅客機コンコルドもそうでしたね。

 教訓としては「過去については」「過去から学ぶが」「過去に拘束されないようにする」ことですね。
 言うは易し、行うは難しですけども・・

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