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外国事情 バックナンバー2/2

中華思想

 中華思想という思想があります。
 「中華そば」(ラーメン)こそが、世界最高の食べ物であるという思想ではありません。

 中国が世界の中心であり、その文化、思想が最も価値のあるものとし、漢民族以外の異民族を「野蛮人」とする考えです。

 特に、中国だけの専売特許ではなく、古代ギリシアにおいても、異国の民を「バルバロイ(Barbaroi)」と呼び、排外の感情をもちました。今日の英語の「野蛮人」に該当する、「バーバリアン(Barbarian)の語源です。
 なお、ミュンヘンが州都であるドイツ・バイエルン州の人のことををBavarianと呼びますが、全く意味が異なりますのでお気をつけ下さい。

 中国に話を戻して、中華思想ですが、「東夷(とうい)」とよばれる日本や韓国などの東方諸国、「西戎(せいじゅう)」と呼ばれる西域の諸国(現在はイスラム系になっています)などの西方諸国、「北狄(ほくてき)」と呼ばれる匈奴・鮮卑・契丹・モンゴルなどの北方諸国、「南蛮(なんばん)」と呼ばれるベトナムなど南アジア諸国などを野蛮国だといったことです。

 確かに、当時は中国文明は先進的でしたから、他の国の文化は「野蛮」というのは誤りではありません。古代ギリシアも、文明は先進的でしたから、他の国の文化は「野蛮」というのは誤りではありません。

 もっとも、中国は「野蛮人」であるはずの「北狄」モンゴル人が元朝をうち立て大帝国を築きましたし、やはり「野蛮人」であるはずの「北狄」女真・満州人に清朝をうちたてられました。「東夷」のはずの日本人にも、痛い目にあっています。


 長い清朝支配に耐えかねた漢人は、五族共和(「五族協和」とは異なります。「五族協和」は満州国のスローガンで、日本人・漢人・朝鮮人・満洲人・モンゴル人が「五族」です)をスローガンに、西暦1912年、孫文が、中華民国建国を唱えました。
 清朝版図内の五族が平等の立場にたち、協力して国家の発展、平和と大同を主張するというスローガンを唱えたのです。
 つまり、清朝の版図内の主な種族である漢族、満州族、蒙古族、回族(ウイグル族など新疆のイスラム系諸民族)、チベット族の5種族が、ゆるやかな連邦諸国として、新共和国の建設にあたる趣旨であり、漢族が他の民族を支配するということではありません。

 しかし、「五族共和」が、いつの間にか、漢族を中核にして旧清朝皇帝の臣下であった全政治集団治下の民を、新たな中華民国の国民に再組織化するためのスローガンとなったのです。ちなみに、中国は、清朝時代の版図にこだわります。
 この中華民国の国家戦略は、中華人民共和国にも引き継がれ、現在は漢族と55の公認された少数民族からなる中華民族が、古代からの中国の「分割不能」な国民であるとする見解へとつながっています。

 中国は、しょっちゅう、民族紛争、それも暴動という形で引き起こされています。
 日本のマスコミは、中国に遠慮して放送しませんが、外国でのマスコミは(私がドイツに留学して知りました)、中国が、チベットを力づくで弾圧して植民地化し、ウィグル族を力づくで弾圧して植民地化しようとしています。もちろん、埋蔵されている天然資源にあります。

 従前、日本での報道は差し控えられてきましたが、北京オリンピックのときのチベット民の蜂起、G8サミットのときのウィグル族の蜂起が報道されるようになったことは、皆さんご承知のとおりです。
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