外国事情 バックナンバー1/2
海苔
語学学校のある町に住んでいる単身(ドイツ人の夫と離婚)の女性が、語学学校の生徒をまねいて、日本食をふるまってくれたことがあります。
日本人だけなら問題がないのですが、同じクラスの外国人を招いてもよいという話でしたので、日本人以外の生徒も集まりました。
たいていの日本食は、外国人も食べます。
ドイツで鯨肉が手にはいるわけでもありませんから。
唯一の例外がありました。
「海苔」です。
韓国の生徒は問題ないのですが、欧州の生徒は一向に食べようとしません。
理由を聞くと、「Schwarzpapier」(black paper)は食べられないということでした。
勇気を出して食べたユーゴスラビア人(当時)は、無理に食道に流し込んでいました。
話はかわって、ユングフラウ観光の拠点にクライネシャイデック(Kleine Scheidegg)という駅があります。
インターラーケンから、グリンデルヴァルトあるいはラウターブルネン経由の登山電車の終着駅です。
そこから、電車を乗り換えてユングフラウヨッホ駅をめざします。
クライネシャイデックから、アイガー北壁、ユングフラウ、メンヒなどが望めますから、クライネシャイデック絶景ポイントで、そこで引返す観光客もいないわけではありません。
クライネシャイデックの売店に、日本人観光客を当て込んで「おにぎり」が売られていたことがありました。海苔で巻いてありました。
翌年、やはり、クライネシャイデックに行ってみると、海苔なしのおにぎりになっていました。
欧米人は海苔は食べないので、海苔なしにしたと思います。
やはり、日本人以外にも売らないとペイしないのかも知れません。
ただ、日本食がブームになってきて寿司の認知度が上がり、さらに「Sushi」が、スーパーに並んでいる時代ですから、欧米人も、平気で食べるようになったのですね。
隔世の感があります。
まさに「食わず嫌い」というところだったのでしょう。