医療のバックナンバー
重複癌
「癌の再発」という言葉は、通常、特定部位(原発部位)に発生した癌が、血管やリンパ管などを通じて、他の臓器等に転移することをさします。
「癌が再発すれば治らない」といわれるのは、原発部位にとどまらず他の臓器に転移しているということは、さらにその他の臓器にも転移していることが多く、再発部位の癌を除去しても完治はしないという意味で用いられます。
これに対し「「重複癌(ちょうふくがん)」というのがあります。
異なる臓器にそれぞれ原発性の癌が存在するものを重複癌といい、さらにその重複により、ニ重癌、三重癌、四童癌、五重癌などと呼ぱれます。
同じ時期にいくつかの癌が見つかる場合を「同時性重複癌」、ある癌を治療した後に、別に見つかる場合を「異時性重複癌」といいます。
私の自己破産依頼者で、重複癌の人がいました。
癌に2度罹患しているので、生命保険は解約したくないと言われていました。
この方は、「癌の再発」=「他の臓器への転移」ではなく、異なる部位に発生した「異時性重複癌」だそうで、種類も「腺癌」「扁平上皮癌」と異なり、幸い両方とも早期癌で、完治している「はず」だと言われていました。
5年以上経過していますが、年賀状をくれますから、お元気のようです。
なお、破産手続きを取ると、管財人をつけない限り、解約返戻金が20万円以上の生命保険は解約させられ、債権者に按分されてしまいます。
癌に2度罹患している方の加入している生命保険は、解約返戻金が20万円以上でしたが、2度癌に罹患しているという診断書付の上申書を裁判所に提出したところ 、「特に解約しないことを認める」ということで別途資金を用意することもなく、解約せずにすみました。他に、援助してくれる人がなかったので大助かり、裁判所が「血も涙もない」というわけでもないということがわかりました。