医療のバックナンバー
症候群
国語辞典によりますと「身体にみられるようになった病的変化、症候(symptom)が多彩、かつ、まとまった状態で形成されみられる病的状態」となっいてます。
英英辞典によりますと「1 a group of signs and symptoms that occur together and characterize a particular abnormality or condition」「 2 a set of concurrent things (as emotions or actions) that usually form an identifiable pattern 」となっています。
その昔、医師をしている知人から、「症候群は、症状はわかるが原因がわらないので症候群という名前が付いているのであって、原因がわかれば端的に病名がついている」というものでした。
知人が例に挙げたのが「ライ症候群」と「SIDS」(最後のSはsyndromeです)。
ライ症候群(Reye's syndrome)とは、インフルエンザや水痘などの感染後、特にアスピリンを服用している小児に、急性脳症、肝臓の脂肪浸潤を引き起こし、命にかかわる原因不明で稀な病気です。
また、乳幼児突然死症候群(SIDS: sudden infant death syndrome)とは、何の予兆もないままに、主に1歳未満の健康にみえた乳児に、突然死をもたらす疾患のことです。
原因は、前者ではアスピリンだとか、後者は「うつぶせ寝」だとかいろいろいわれていますが、現在の医学ではわかっていません。
損害賠償請求された診療所・病院としては、ここへ逃げ込められれば、損害賠償から逃れられます。
そうでないシンドロームもあるようです。
ギラン・バレー症候群、アスペルガー症候群など法律家におなじみなものから、最近はやりのメタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、エコノミークラス症候群などが有名で、メニエール症候群、パーキンソン症候群、かぜ症候群など、ある意味原因や決定的な対処方法がない病気もあります。
また、社会現象を「シンドローム」ということもありますね。
「さざえさんシンドローム」、古いところでは、「おしんドローム」などなど
いずれにせよ、一方で、医学的に原因不明であったものが、医学の進歩によって原因が突き止めるられるなどする一方、世の中が複雑化すると、原因・結果の因果関係が不明確になってしまうこともあるようです。