2012年バックナンバー
弁護士会の名称
「弁護士会名」というコラムを書いたことがあります。
地方・家庭裁判所の名には、県庁所在地の名前がつきます。
大阪地方・家庭裁判所
京都地方・家庭裁判所
神戸地方・家庭裁判所
奈良地方・家庭裁判所
大津地方・家庭裁判所
和歌山地方・家庭裁判所
弁護士会についても、昔は、県庁所在地の名前がついていたところが多かったようです。
といいましても、府県名と府県庁所在地名が同じならば、大阪弁護士会、京都弁護士会、奈良弁護士会、和歌山弁護士会など、県名なのか県庁所在地なのかわかりません。
県名と県庁所在地名が違うところが、都府県名をつけるか、県庁所在地名をつけるかで問題になります。
近畿では、具体的には、兵庫県弁護士会と神戸地方・家庭裁判所、滋賀弁護士会と大津地方・家庭裁判所ですね。
「大津」弁護士会というより、「滋賀」弁護士会の方が、どちらかというとイメージのいい呼び名ですね。
近畿以外の人は、「大津」は知らなくても、琵琶湖のある「滋賀」は知っています。
兵庫県弁護士会は「もめ」ました。
その昔は、神戸弁護士会と呼ばれていました。
兵庫県は大阪府と違い広く、神戸にある弁護士会の他、「尼崎」にも、「姫路」にも支部のあるような弁護士会です。
支部の弁護士にとって、「神戸弁護士会」という名前に不満である弁護士も多かったようです。
一方、「神戸弁護士会」は、都市的なイメージがありますが、「兵庫県弁護士会」というと、田舎くさいイメージが否定できません。
兵庫県は、都市部は、神戸市、西宮市、尼崎市、宝塚市、宝塚市くらいで(姫路市も大きな市ですが、中心から離れています)、他は「田舎」といわれても仕方がありません。
ただ、神戸市に事務所のある弁護士は賢明なため、平成11年に「神戸弁護士会」は「兵庫県弁護士会」に名前が変わりました。
「兵庫」ではなく「兵庫県」と呼ぶのは、神戸市兵庫区があるからといわれています。
他にも、平成6年に「水戸弁護士会」が「茨城県弁護士会」に、平成17年に「名古屋弁護士会」が「愛知県弁護士会」と変更されています。
現在、名称に都府県名が入らないのは(北海道は、札幌弁護士会、函館弁護士会、釧路弁護士会、旭川弁護士会と4つあり「北海道」弁護士会はありません)、横浜弁護士会(神奈川県)、仙台弁護士会(宮城県)、金沢弁護士会(石川県)の3弁護士会だけとなっています。
横浜弁護士会の名称変更問題でもめました。
「横浜弁護士会」は、都市的なイメージがありますが、「神奈川県弁護士会」というと、田舎くさいイメージも含まれてしまいます。
横浜弁護士会は横浜市の本部の他、川崎、県西、横須賀、相模原の各支部で構成され、総会員数は1296人で、横浜市内の事務所に所属するのは6割強にすぎません。
本来なら、「神奈川県弁護士会」にすべきなんでしょう。
「神奈川県弁護士会」への変更は、3分の2の賛成が必要です。
平成13年、15年と否決され、平成24年12月4日の臨時総会で実施され、総議決数1083票のうち、変更案への賛成684票、反対380票、残りは無効または棄権だったため、可決に必要な3分の2以上に38票足らず否決されました。
いつまでも「子供じみた」ことをしているようです。