2012年バックナンバー
電波系の法律相談
法律相談より、心療内科か精神神経科の受診が好ましい人たちです。
「私の体を電波がはしっている。どうしたらいいか」という相談する人がいます。「電波系」の典型例です。
「気のせいですよ」というのは簡単ですが(体を電波が通り抜けているのは間違いありませんが、ただ、人間の五感=視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚では感知できないだけです)、「気のせいですよ」といってしまったのでは、「そんなことはない」とけんか腰になる人がいます。
私は、電磁波シールドクロスの購入を勧めています。
「電波の侵入を防ぐ網みたいなものがあります。インターネットで購入すれば、1㎡あたり1万円から2万円で購入できます。購入して試してみてください」
たいてい、それで終わります。
「私は、いつも、つけられている。私はいつも、看視されている。どうしたらいいか」という相談する人がいます。
私は、興信所の利用を勧めてめています。
「誰が、つけているか、誰が看視しているかを特定しないと、民事事件にも刑事事件にもならない」「興信所をやとって、誰がつけていて、誰が看視しているか、証拠を残さなければならない」「興信所はインターネットで探せる。相場は1日5万から10万円。四六時中ということだから、調査は1日、いや半日で十分」「証拠を確保した上で、もう一度、法律相談にきなさい」
たいてい、それで終わります。
「毎晩、天井で、オバマ大統領とプーチン大統領が論争をしていて眠れない。どうしたらいいか」という相談する人がいました。それほど、ポピュラーではありません。
「いったい何語で話しているのか」と聞いたのでは、「私を疑うのか」とけんか腰になる人がいます。
私は、ICレコーダの利用を勧めてめています。
「住居侵入にあたる」「しかし、証拠がないと、民事事件にも刑事事件にもならない」「ICレコーダで録音して、証拠を確保した上で、もう一度、法律相談にきなさい」
それで終わりました。
もっとも、本物のオバマ大統領とプーチン大統領であれば、免責特権がありますから、刑事事件にも民事事件にもならないことに、後で気づきました。
つまり、相談者の言うことを否定するのは賢明ではありません。
相談者の言うことが正しいとして、その適切な対策を指示すれば、たいてい納得しますし、不満げな人も、それ以上は「つっこめ」ません。
複数の弁護士が相談にあたっているときなど、相談担当職員は、経験年数の多い弁護士に、これらの人の相談をさせようとします。
若い弁護士さんは喧嘩する可能性がありますからね。
20年以上弁護士をしていると迷惑なことも多くなります。