2012年バックナンバー
いわゆる消費税倒産
5%の消費税は、平成26年4月に8%、平成27年10月に10%へと2段階で引上げられます。
中小企業にとって消費税の増税分を、製品価格に上乗せする「転嫁」を円滑にできるかという問題があります。
中小企業が、製品を納入する際に、発注(納入先)企業から、「消費税増額分まけてくれ」などといわれ、製品の納入価格に、消費税増額分を転嫁できない恐れがあり、体力の弱い企業は価格転嫁ができなければ、収益を圧迫され「消費税倒産」に追い込まれる恐れがあるというものです。
5%の消費税の値上げがあったとします。
中小企業が、製品を納入する際に、納入先企業から、「消費税増額分まけてくれ」などといわれ、製品の納入価格に、消費税増額分を転嫁できなかったとします。
この場合、中小企業は4.7619%値引きして(5%引きの5%増しでは1になりません。(a-b)×(a+b)=a^2-b^2です)、売却したと考えるのが妥当です。
納入先企業から、製品の納入企業に対し、製品の「値下げ」要求があるというのは「日常茶飯事」でしょう。
納入先企業も「きびしい」競争を競合他社としているのですから。
なお、製品の「値下げ」要求に応じるか応じないかは自由です。
「下請法」(「下請代金支払遅延等防止法」)は、親会社の以下の行為を禁止しています。なお、一部省略しています。
下請代金の減額(あらかじめ定めた下請代金を減額すること)
返品(受取った物を返品すること)
買いたたき(類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること)
購入・利用強制(親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること)
不当な経済上の利益の提供要請(下請事業者から金銭,労務の提供等をさせること)
不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(費用を負担せずに注文内容を変更し,又は受領後にやり直しをさせること)
単なる「値下げ」「要求」は入っていません。
そんなことを禁じたら、自由主義経済そのものが否定されてしまいます。
冷たいようですが、「4.7619%値引き」で「採算があわない」なら、当該商品について、売ったりしなければよいだけの話ですし、「4.7619%値引き」ができないなら廃業すればいいだけです。
資金繰りに苦しむ中小企業を「救う」ため、借入金の返済を猶予する「中小企業金融円滑化法」(いわゆる「モラトリアム法」)が、平成25年3月31日まで再々延長されています。
稼げていない企業は、「退場」することもやむを得ないでしょう。
これから景気が好転することも期待薄ですから、現在、稼げていない企業の財務内容が良くなることは期待薄です。
本来「退場」しているはずの企業が、いつまでたっても「退場しない」ということは、不合理ですね。
経営者・労働者には気の毒ですが、「もうけの出る見込みのない企業」は、早期廃業(負債のある場合は倒産)するほうが、社会全体にとって利益になると思います。