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2012年バックナンバー

逮捕時の写真

尼崎市の連続変死事件は、日本でおきたと言うことが信じられないと言うような事件ですね。

 読売新聞などは、「角田美代子被告」として、顔写真つきで報道していました。

 平成24年10月31日付朝刊に、兵庫県尼崎市で起きた連続変死事件の記事で、別人の顔写真を角田美代子被告(64)として掲載したことについて、あってはならないミスであり、本人確認が不十分でした。おわびします」との謝罪文を掲載しました。

 尼崎市に住む女性(54)が30日、弁護士を通じて「写真は私だ」と名乗り出たことから判明しました。
 10歳も「ふけて」見られたわけで、そういう意味で燃えも白くありませんね。

 マスコミは、逮捕された成年の被疑者の顔写真を出さなくなりましたね。
 未成年は名前も出しませんし、写真も出しません。
 少年法61条2以下の通り定められています。
 「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」
 逮捕時点では、誤認逮捕の疑いがあるわけで「なおさら」ということになります。


 昔は成年の逮捕者の顔写真が必ずニュースに流れていました。
 アメリカやドイツなど先進各諸国は、現在でも同じです。

 なぜ犯人の顔写真を出さないのでしょうか?
 送検されるときの映像は流しますね。
 逮捕されたときの写真を警察で提供してもらえば、そもそも、今回のような誤報はおこりません。

 有罪判決が確定するまで、被疑者被告人は無罪の推定があります。
 しかし、逮捕されれば実名は報道されます。
 なぜ、顔写真だけが出ないのか不思議ですね。

 顔写真が出れば、被疑者・被告人に有利不利を問わず、事件の目撃者が名乗り出てくれることが期待できます。
 送検されるときの映像はアングルが不自然で、不鮮明なことが多いです。
 また、尼崎の連続変死事件のように、送検時に世間の耳目を集めず、送検されるときの映像が流れなかった事件はなおさらです。


 なお、平成6年の松本サリン事件ころから、逮捕された成年の被疑者の顔写真を出さなくなったといわれています。

 松本サリン事件では、警察は、第一通報者宅の家宅捜索を行ない、薬品類など数点を押収しました。さらに第一通報者には重要参考人としてその後連日にわたる取り調べが行われました。
 また、マスコミによる報道が過熱の一途をたどりました。
  『週刊新潮』が「毒ガス事件発生源の怪奇家系図」と題した記事で第一通報者の家系図を掲載しました。

 結局、第一通報者は逮捕されず、翌平成7年に発生した地下鉄サリン事件ののち、オウム真理教幹部が、松本サリン事件がオウム真理教の犯行であることを自供するまで、第一通報者は「証拠はないが疑わしい」とみられつづけていました。

 このときの反省があるのですね。

 「羮に懲りてなますを吹く」ということでしょうか。

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